竹田彩子・消化器

前向きに病むということは、光であって闇ではない

ひとは体の不調があったり病気になると、気分が落ち込みやる気がなくなります。逆に、落ち込んでいるときにもやはり体の不調を感じます。

人が病にかかるということは、生きていくうえでとても貴重なプロセスであるように思います。これについては免疫学や遺伝子学の話は尽きませんが、精神論的なことを言えば、その病を乗り越えても乗り越えられなくても、病と闘ったという軌跡は確実に自分自身に変化をもたらすでしょう。

病気になると、自身のライフスタイルを見直すことにつながり、日頃当たり前のように支えてくれる人の大切さに気づきます。

息が吸えて、風を感じて、ここに在るということのありがたさ。自分が健康であった時には気づけなかった、弱っている人々の気持ちにそっと寄り添えるようになるものです。

限りある命の中で自分は何をしなければいけなくて、どう生きたいのか？
そんなことも改めて考えさせてくれる機会です。

それは、大きな病気もなく人生を歩んできた人には決して得られない貴重な体験でもあると思います。

一人でも多くの方が病いという人生の試練に前向きになれるように、明るく元気で笑顔になれるように、私は診療していけたらと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。