高血圧は”体質”の病気といえます。この”体質”を治療しなければ 老化が速く進み，脳や心臓の病気になり易いことが世界の多くの研究から明らかになっています。生活スタイルの改善だけではこの”体質”はなかなか完全に変わりませんので、内服薬と組み合わせなければ高血圧の治療としては不十分でしょう。
老化は誰にも平等に起こりますが、老化の進む速さには大きな個人差があります。幾つになっても若々しい人はいます。しか し自然にそうなっているわけではありません。その人は相応の努力をしてその若々しさを手に入れているのです。その努力は見えず隠れているので他人には分かりませんが・・・。
血管の老化を加速する因子は幾つかありますが、抜群に悪いのが高血圧です。そのあとにコレステロール、糖尿病、タバコ、肥満、ストレス、運動不足などが続くでしょう。もし高血圧を放置すれば老化が静かにしかし急速に進んでいきます。
薬を飲んで血圧を正常にまで下げた十年後と、飲まないで高い血圧のままの十年後では、心臓、脳、腎臓、血管に大きな差が出ています。体を外から眺めているだけでは体中のこの変化は分かりません。いろんな検査を組み合わせて初めて分かります。当院ではその違いが患者さんにも分かるようにいつも比較の画像を見せています。
年は取っても若々しく健康で長生きするためには薬を飲み続けていつも血圧をしっかり下げておくことです。長年の治療の差が後で必ず現れます。このやり直しは出来ません。飲んだ薬が効いている時間は長くても２４時間です。毎日飲み続けないと血圧は安定して下げられません。ですから血圧の薬を飲むのは長い付き合いになります。一生のつもりで対応してください。
治療開始した最初の頃は薬の量が多くても、数年後には少なくなることがよくあります。頑固だった高血圧が治療とともに穏やかになってくるのでしょう。
薬で血圧が良く下がって安定しているので、試しに薬を止めても下がったまま上がって来ないので薬を中止する方もいます。しかしそんな方は少数なので最初からそれを期待しない方がよいでしょう。多くの方は薬を中止すると血圧が再び上昇してきます。
一回でも薬を飲み忘れたら血圧はすぐに上がってしまうので、毎日定期的に血圧を測っている方なら、高い血圧が出て前日に薬を飲み忘れたことを思い出させてくれるほどです。
薬を飲み続けるメリットとデメリットを秤にかけてください。ほとんどの人には、健康で楽しい人生がおくれる利点の方がずっと大きいと私は思います。
