院長の解説:人の老化の克服は古くからのテーマで長い研究の歴史があります。しかし今まで公表されたもので納得できる実績はありません。最近では一般の医薬品でも、高コレステロール治療をすると血管の劣化や老化を抑えることが可能となりました。人の老化を遅らせる一つの実績と言えますが、あくまで血管の老化抑制に限定した成果で、人の全細胞の老化メカニズムを抑え込んでいるわけではありません。人の細胞レベルで老化メカニズムの本体を抑制する医薬品はありません。
ロシアで「老化を遅らせる薬」の試験に成功
© 写真: Maksim Skulachyov
Sputnik 2017年02月19日 20:35
モスクワ国立大学の研究者とストックホルム大学の研究者らは、彼らが生産した人工の抗酸化物質SkQ1が老化を遅らせることができるとの確信を示した。研究に関する記事は、雑誌Agingに掲載された。
薬の作用はマウスを用いた実験で調べられた。なおバイオエンジニアたちは初めに老化を促進しやがて死に至る遺伝子改変マウスを作製した。
結果、薬を与えられたマウスは、老化の典型的な兆候の進み具合がはるかに遅いことがわかった。薬を与えられなかったマウスは生後200日から250日までに運動性が低下し、皮膚が薄くなったり薄毛が見られたりしたほか、骨や心臓などにも問題が生じたが、薬を与えられたマウスにこれらの兆候が表れるのははるかに遅かったほか、寿命も大きく伸びた(平均290日から335日)。
研究者たちは一風変わった「老化を遅らせる薬」について、人間の身体にも同様の作用を及ぼすだろうとの確信を示している。
出典 Sputnik記事:ロシアで「老化を遅らせる薬」の試験に成功