最近、「炭水化物ダイエット」、「糖質ダイエット」として、糖の原料となる炭水化物を極端に少なく摂取して、体重を減量するダイエット方法が一般で注目されているようです。しかし、糖尿病がない普通の健康な方では、糖だけの極端な減量は問題があると思います。やはりバランスが重要で、炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素をバランスよく、6:2:2で摂取し、体重の減量はこのバランスの中で総カロリー量を減らすようと当院では患者さんにお勧めしてきました。この問題について、日本糖尿病学会が声明を発表したようですので、ここで引用してご紹介します。
「2013年1月15日 m3.com」の記事
日本糖尿病学会が今年出す見通しの「糖質制限を含めた食事量を めぐる声明案」の概要が明らかになった。1月13日に開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、日本糖尿病学会食事療法委員会の委員長を務める 宇都宮一典氏(東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授)が説明した。
肥満の是正は、「総エネルギー制限を最優先」
まず、肥満の是正について明記。肥満の是正は糖尿病の予防と治療で重要であり、総エネルギー制限を最優先にすると強調した。
その上で、「総エネルギー制限をせずに、炭水化物を100g以下に制限するのは、長期的な有用性や安全性のエビデンスが不足しており勧められない」と指摘。1日当たりの糖質の摂取量は100g以上にすべきであると推奨した。
「炭水化物、たんぱく質、脂質の構成比」の確認
炭水化物とたんぱく質、脂質の構成比は、従来の考え方を改めて確認。「炭水化物は50%-60%、たんぱく質は20%以下を目標とする。脂質の摂取上限は25%とする」と説明。n-3不飽和脂肪酸の摂取を増やすといった脂肪酸の構成にも配慮すると付記した。
糖質制限は今後の検討課題と位置付けた。「炭水化物量の摂取は議論がある。問題と認識して、炭水化物40%-50%の減量効果は積極的に検討課題にすべきである。生活習慣病は、日本人の食習慣を考えないと持続しない」と解説している。
当院の見解 :
この資料は2年近く前の学会声明ですが、内容的には当院でこれまで患者さんにお勧めしてきた、一日の食事内容の構成は、「炭水化物6、たんぱく質2、脂質2」の目安が適切であることを支持します。最近流行の「糖質制限ダイエット」は、医学的にはまだ推薦できる段階ではないようです。