血圧は150mmHg位でそれほど怖くないと思っていましたが、何かのきっかけで200mmHgを超えて驚いたことはありませんか。
その時には強い頭痛や肩こり、全身のダルさ、体調不良などがでたでしょう。その時の対策はまず横になって休みます。内服中の血圧の薬を臨時に一回分追加しても良いでしょう。多くは一時的現象でしばらくして回復することが多いのです。
もし血圧上昇が危険なほどになれば強い体調不良、胸の苦しさや圧迫感、息苦しさ、吐き気、意識の悪化なども加わります。そこまで重症になると危険なレベルです。絶対安静にしても改善しなければ医療機関を受診して下さい。
そんな危機状態を回避した後には降圧薬の内服治療を強化し常時の血圧を十分下げ（正常血圧まで）てこんな血圧の再発を予防します。
高血圧の症状
A. 一般的な症状
血圧が高い時の一般的な症状は、頭痛、肩こり、疲労感、動いた時の息切れが代表的です。 ◆高血圧 三大症状 それ以外にも、
●頭が重い、頭をハチマキで締められたよう
●後頭部の凝り、首筋の張り
●疲れやすい、歳のせいと思っている
●起床時に起きたくない、疲れが残ってる
●体が重い
●仕事が終わり帰宅し休まないと家事に入れない
などがあります。治療で血圧が下がればこの症状は消えます。 ◆高血圧の症状は、下がると消える！
血圧が一時的に高いだけではなく長期にわたって持続する場合、症状はもっとハッキリ現れます。また安静時でも150mmHg以上が続けばこのような症状が常にあっても不思議ではありません。
B. 異常に高い血圧の症状
常時に150mmHg程度の血圧が続く場合、何か追加の負荷があれば異常に高い血圧となることがあります。軽々と200mmHg以上です。
追加の負荷とは、仕事が多忙、ストレスや不安、不眠、車の運転、長い距離を歩く、残業、根を詰めた仕事などです。そのような時は高血圧の症状がさらに強くなり、新しい症状も加わるかも知れません。そんな時に出てくる症状とは、
●非常に疲れ易い、強い倦怠感
●安静でも胸が圧迫される
●息苦しく酸素が足りない
●心臓がドキドキする（早く動く、強く動く）
以上は高い血圧での心臓の症状です。心臓が悲鳴を上げているサインです。しかし胸が苦しくなる病気は、胸の筋肉や骨の病気、神経の病気、食道や胃の病気など、血圧とは無関係な病気もあります。
あまりに高い血圧では丈夫な心臓でさえ悲鳴を上げるほどです。脳、血管、腎臓などなら心臓以上に負担が重いでしょう。その症状とは、
●強い頭痛、強い肩こり
●強い疲労感、脱力感、倦怠感
●異常なほどの全身の苦しさ
●吐き気
●意識がおかしい、体が痙攣する
等です。そんな高い血圧であっても短時間であれば耐えられますが、長時間に及べば耐えられる限界を超えるかも知れません。
C. 臓器が耐えられなくなれば
もし臓器が耐えられる限度を超えて高い血圧が続けば、
●急性心不全
●高血圧性脳症
●脳出血
●急性腎不全
●大動脈解離、大動脈破裂
など、生命に危険な緊急状態が出現します。こんな恐ろしい状態にしないため、もし危険な高血圧状態になったら直ちに安静にし十分休んで下さい。
危険な高血圧になったら？
症状と緊急対応
緊急状況になった時は、重篤になる直前で回避するために、警告信号ともいうべき前兆の症状を知っておくことです。上の症状を記憶しておいて下さい。
危機事態では、絶対安静にして内服中の血圧の薬が手元にあるなら一回分を追加で内服しても良いでしょう。救急車を呼びます。比較的落ち着いているなら、かかりつけの病院に行き主治医の治療を受けます。
強めの降圧薬を内服すれば、１５分～３０分で降圧効果が始まります。異常に高い血圧を急激に下げようとせず少し時間をかけて穏やかに下げた方が生体の持つ自動調節機構を上手に利用できるでしょう。
不安は血圧を上げます。そんな状況ですから難しいかも知れませんが、出来るだけ平静な心を保つようにします。恐怖心は強く血圧を上げてしまいます。もし可能なら安定剤も内服します。
危険回避 → 治療強化 → 正常血圧に
緊急事態を乗り越えたらその後は降圧薬を十分に増量し、常時の血圧をもっと低く維持し、ほぼ正常血圧まで降圧しておくことを勧めます。また同じような危機を繰り返すことになるでしょう。
降圧の目標値：正常血圧
＊参考情報
当院の降圧目標値
当院での目標血圧は以前の日本の学会の正常血圧を指標にしました。
●診察室 130/80mmHg 以下
●家庭血圧 125/75mmHg 以下
長い間この値を目標にして、降圧薬を調整しました。
米国心臓病学会(ACC)・米国心臓協会(AHA)
2017年11月の米国心臓病学会(ACC)・米国心臓協会(AHA)の高血圧ガイドラインでは、以下の様に基準が厳しい方向に改定されました。
●正常血圧 120/80mmHg 以下
●高血圧 130/80mmHg 以上
そして・・・
高血圧の五部作
血圧は高度に自動制御されている：
◆248 高血圧 測る度に違う。どの血圧が本当か？
高血圧にはハッキリと症状がある：
◆239 高血圧 三大症状
急に血圧が上がる理由は？：
◆080 安定していた血圧が急に上がった その原因は？
薬で下がり過ぎることもある：
◆254 高血圧 薬で下り過ぎると危険ですか？
薬でも下がらない訳は？：
◆064 薬を飲んでも、血圧が下りません
高血圧でも、長生きするなら・・：
◆258 高血圧 それでも、長生きできますか？
高血圧コラムの中心サイト：
Web高血圧：高血圧のハブ
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