脈拍数は心臓だけでなく身体全体の状態を知るうえでも大切な情報です。
脈拍数を測定するのは、朝晩二回安静時の血圧測定と同時が良いでしょう。健康成人なら1分間50~80が標準です。
一般的ですが血圧が上がった時は脈拍数は減少し下がった時は逆に増加する傾向が見られます。このような血圧と脈拍数の変化の逆方向の関係は普通の反応ですから心配ありません。
ただし血圧変化による脈拍の変化は標準的な値を大きく超えることはありません。脈拍数が過剰に多いなら注意が必要です。病気の可能性が想像されます。自分では分からなくとも医師が見ればその記録は十分役に立つでしょう。
血圧・脈拍を同時測定
血圧を自宅で測定する習慣がある人が増えています。毎日規則正しく血圧を測って記録しておくことは自分の健康管理に非常に役立つ良い習慣です。
特に高血圧、脳卒中、心臓病、腎臓病、脳動脈瘤、大動脈瘤等がある人はとりわけ大切です。糖尿病の人でも同じく有用です。
脈拍数も注目
毎日血圧を測定している人でも脈拍数についてはあまり注目していないようです。せっかく脈拍数も毎日測定していながらあまり注目していない人が多い印象です。
血圧ほどではありませんが脈拍数は心臓だけでなく身体全体の状態を知るうえでも大切な情報なのです。
脈拍数の標準値
脈拍数の標準値は年齢や病気のあるなしによって変わりますが、健康成人なら1分間50~80が標準だと考えて下さい。
それ以上かそれ以下が長く持続しているようなら一度チェックした方が良いでしょう。この問題は以下のコラムでお話ししました。ご覧ください。
測定するタイミング
健康な脈拍数ではあっても、その時の体調で大きく変動するのが特徴です。
条件によって変動はかなり大きいですから、脈拍数を測定する基本は朝晩二回の安静時の血圧測定と同時に測るのが良いでしょう。これなら脈拍数の変動はあまり見られなく比較的安定した数値が続きます。
もし朝晩の安静時でないなら、少なくとも5分間以上安静に休憩してから体が完全に落ち着いて静かな状態になって脈拍を調べて下さい。動き回っていたのを止めてすぐに測れば必ず速い脈を測定してしまいます。
血圧と脈拍数は「逆方向」に変化
血圧と脈拍数を毎日規則正しく測って値を良く観察する人なら気づいていると思いますが、血圧が上がった時には脈拍数は減少し血圧が下がった時には脈拍数は逆に増加する傾向が見られるでしょう。
体の調子には全く問題なく安静の環境なら、このような血圧変化と脈拍数の動きの逆方向の関係が見られます。全く普通の反応ですから心配しないで下さい。
異常に変化したら異変が起きたサイン?
以上の安静時ですが血圧の変動につれて脈拍数が変化すると言っても標準的な値を大幅に超えることはありません。もし血圧がいつもより低くても脈拍数が異常に速いなら注意が必要です。
たとえば普段は一分間70台で安定していたのに、ある朝測ったら血圧が少し下がっていたが脈拍数が100を越えていた等です。これは普通の反応とは異なります。
もし体調が少しおかしいと感じられるなら特に注意です。病院を受診するべきでしょう。体に何か異変が起こっている可能性があります。
その可能性の一つでありふれた病気は胃腸からのかなりの量の出血です。
薬で脈拍数が異常に速くなる
高血圧の薬を飲むと血圧は当然下がりますが、それに伴って脈拍数が普通以上に速くなってしまうことがあります。
脈拍数が80以下であればそれほどではないですが、脈拍数が持続的に80を超えて続く時は何らかの対応が必要になるかも知れません。
この現象は特に高血圧の薬のカルシウム拮抗薬で見られます。大きな問題ではありませんが対応した方が良いと思います。
治療薬がベータ遮断薬なら逆に脈拍数が低下するのが普通です。
毎日観察すれば病気の早期発見に
習慣的に血圧と脈拍を毎日測定していれば、異常な変化を発見するだけで幾つかの病気を見つけるヒントになります。
自分では理由がわからなくてもデータを医師が見れば診断に役立つでしょう。自分の健康管理に大切な情報となりますから、測定したデータは大切に保存しいざと言う時は医師に見せて下さい。
◆脈の異常:速い、遅い、飛ぶ、抜ける、止まる、弱い、強い
そして・・・、心臓病の初期サイン 五部作
心臓病は最悪に、突然やってくる:
◆072 心臓病の発症は、最悪のタイミングで訪れる?
心臓の初期症状を、短くやさしく話す(入門編):
◆337 心臓病の早期発見 前兆・初期症状をやさしく学ぶ(初心者用)
心臓の初期症状を全般解説する:
◆075 心臓病 発症直前、前兆の警告サインを見逃すな
脈の変化で心臓の病気を知る:
◆155 高血圧と脈拍 脈拍数の変化は、病気の発見に役立つ
大きな心臓は病気の初期サイン?:
◆087 大きい心臓は、弱った病気の心臓?
心臓病の究極予防:
◆369 心臓を健康にする ー心臓病・心不全の超予防ー