血圧を変動させる原因
血圧は実に様々な条件で変化します。睡眠不足、ストレス、不安、多忙、気温など因子は多数あります。その中で一時的ではなく持続的に血圧を変動させる重要な原因としては季節の温度変化とストレス・不安があると思います。
気温では寒い冬には血圧が上がり暑い夏には血圧は下がります。温度変化で体の中の血管が縮んだり拡がったりすることで起こります。
年間を通じて、血圧を常に一定に保つ
季節の温度変化によって起こる血圧変動を打ち消して血圧を常に目標近くの一定値にしておくには、寒い冬には少し強めの薬を暑い夏には少し弱めの薬をというように、四季折々で服装を替える「衣替え」のように、血圧の薬も四季折々に変えてやる必要があります。
当クリニックでは少なくとも夏用と冬用に切り替わる最低年2回、薬の変更があるのは普通のことです。降圧薬の「衣替え」です。薬の変更はそれ以外にも何かストレスがあった時や仕事が多忙になった時期だけの限定的な変更も珍しくありません。
降圧薬の調節は、自動車の「ショック吸収機構」に似る
季節の寒暖やストレスによる血圧変化を薬の微調整によって吸収し年間を通じて血圧を常に目標値近くに保つ治療は、あたかも自動車が凸凹道を走ってもバネでその凸凹を完全に吸収して運転者には道路の凸凹を感じさせないようにする技術とよく似ています。
微調整には、診察間隔は2週間がベスト
このように薬の微調整で血圧を常時一定に保つには薬のこまめな調節が必須です。2週間に一回くらいは患者さんの血圧変化を拝見するのが良いでしょう。
診察室血圧だけで次の2週間の薬を決めるのはデータが少なくて不正確な判断になりがちです。出来れば過去2~4週間の朝夕の家庭血圧グラフがあれば判断がより正確になります。
微調整の判断には、家庭血圧のグラフが有用
当院の患者さんは多くが毎日家庭血圧を測定しておりそのノートを持参してくれます。重要なポイントはこの血圧データがグラフになっていることです。そして目標血圧値の補助線が赤や青色で引いてあることです。
当院では患者さんに125/75mmHgで青色の補助線を引いてもらいます。血圧をグラフにするのとしないのでは血圧の適不適判断の容易さが全く違います。グラフにして目標血圧の補助線が引いてあれば非常に容易に正確に血圧状態が理解できます。それは医師と患者どちらにとっても極めて有益です。