高い血圧を見て精神的パニックに
当クリニックではこんなケースに時々出会います。
もともと軽い高血圧で治療中の人です。ほぼ血圧は安定して110~140mmHgで推移しています。ある時何かのきっかけでストレスが発生します。
それは家族の心配事や自分の病気や体調不良が原因となったり生活状況が大きく変化したために気持ちが不安定になったりします。
原因は何でもいいのですが急に発生したストレスによって、心がいっぱいいっぱいでパニックに近くなってしまいました。→◆145 不安で高血圧:小さな体の異常が引き金、健康不安から短時間の重症高血圧に
高血圧でも精神的パニックは特に深夜に発生しやすい特徴があるようです。深夜になるとこの不安の強さが一段と加速されるようです。
その時「血圧が高くなっているのではないか?」と自分で血圧を測ってみるとこんな時ですから血圧は必ず高くなっています。180~200mmHg以上に跳ね上がっています。
それを見て不安はさらに悪化し高血圧による精神的パニックの蟻地獄に嵌まってしまいます。強い不安感、頭痛、めまい、肩こり、手足のしびれ、全身の動揺感など、パニック状態となりついに苦しくて耐えられず救急車を呼ぶことになってしまいます。
救急車で運ばれて病院に到着するころには気分も落ち着き血圧も少し低下し医師の診察と心電図検査やCT検査などでは何も問題が見つかりません。→◆046 高血圧の症状は、下がると消える!
担当医から「何でもないよ」笑いながらと診断され、明け方には病院から自宅に帰ることになります。
こんなことを何度も繰り返しますと深夜に救急車で受け入れてくれる病院も「またかあなたですか・・」といやな顔をされて徐々にオオカミ少年扱いになっていくでしょう。
患者は本当に辛いのです
繰り返し起こしますと、何も病気がないのに大騒ぎしてと周りは迷惑そうな顔になってしまいます。しかし患者にとってこれは本当に非常に深刻なのです。
嘘を言ったり病気の振りをしているわけでは決してありません。本当にその時はそんな状態で苦しいのは間違いないのです。しかし誰もわかってくれません。変人扱いされてしまうこともあります。誰にも理解されず患者の悩みは大きいといっていいでしょう。
この病気は薬で治ります
以上が不安やストレスによって起こる高血圧パニックです。こんな患者が時々ですが当クリニックを訪れます。お話を伺い診察し患者に起こっていることを整理して説明します。
パニックの治療について理解を得てから薬(血圧の薬ではありません)を処方します。当日から新しい薬が開始されます。更に高血圧の薬も変更し追加されます。
治療には内服薬が非常によく効きます。必ず良くなります。近くの内科か心療内科の先生に相談されるとよいでしょう。この病気を薬に頼らず自分で治そうと努力しても無駄に終わるでしょう。
普通なら病状はますます蟻地獄の泥沼に嵌まり込んでさらに重く進行してしまいます。自分の力で治すのはかなり困難だと思います。もしよいカウンセラーに出会えば治るかも知れませんが非常な幸運です。
薬を初めて1~2週間の間隔で再来院して頂き薬の効果を確認します。治療開始して一か月もたちますとこのパニックは鎮静し来院する患者の表情にも笑顔が見え始めます。
初めて来院した時の辛くて苦しそうな表情は消えています。現代はこのようによく効く薬が充実していますので私たちは本当に幸せな時代に生きていると思います。
高血圧パニックになり易いタイプ
高血圧による精神的パニックは神経が繊細で傷つきやすく悩みやすい心の優しい人に起こる傾向があります。女性に多いと感じます。
そして・・・
高血圧の五部作
血圧は高度に自動制御されている:
◆248 高血圧 測る度に違う。どの血圧が本当か?
高血圧にはハッキリと症状がある:
◆239 高血圧 三大症状
急に血圧が上がる理由は?:
◆080 安定していた血圧が急に上がった その原因は?
薬で下がり過ぎることもある:
◆254 高血圧 薬で下り過ぎると危険ですか?
薬でも下がらない訳は?:
◆064 薬を飲んでも、血圧が下りません
高血圧でも、長生きするなら・・:
◆258 高血圧 それでも、長生きできますか?