太ってはダメ、痩せるが一番！
日本人で、昔から健康で長生きした長寿者とは一体どんな人達だったのでしょうか。参考になるような詳しいデータはありませんので、私的に推測してみましょう。
日本人は、痩せて健康な民族？
太古の昔、日本民族は痩せていて生存の危機をかいくぐり生き伸びてきました。食料が少なくなっても痩せたまま省エネで生きていける遺伝子を持った民族だそうです。
反対に過食で肥満には弱く、太るとすぐ病気になって死んでしまう体質なのです。欧米人のあのすごい肥満で大した病気にならない体質とは全く違うようです。
日本人は痩せてないと健康ではいられない民族なのでしょうか。
昭和初期以前、日本人は痩せていた？
昭和初期より前の日本人は、食料がなかったわけではありませんが、大多数の庶民は貧しい中で生活をやりくりして生きていました。
三度の食事以外、豊富な間食などありませんから、みんなそこそこに痩せていました。太っている人は少なかったと思います。古い時代の街の写真を見ると、大人も子供もほとんどが今の基準では痩せています。
太っている人がいたらそれは裕福な家庭の人ですから、太っていることは良いことでした。糖尿病は「ぜいたく病」と言われた時代です。
「恰幅（かっぷく）が良い」は太ってお腹が出ている、今で言う典型的な中年太り体型ですが、昔は褒め言葉でした。
昭和７年（1932年）の銀座４丁目交差点。現代の日本人と体格を比較してください。 （石川光陽『昭和の東京 ―あのころの街と風俗―』朝日新聞社 1987年）
江戸時代の下級武士の夕食で、ご飯に、味噌汁、目指し、豆の煮付け、漬物あたりで食事をする映画のシーンを見ることがあります。バランスは少し悪いですが、現代人の過食より良い食事かも知れません。
適当な必要カロリーを、６０％の炭水化物（ご飯やイモ類）、２０％のタンパク質（魚、肉、大豆類）、２０％の脂質類のバランス近くに取っているように見えます。
恐らく塩分が多く、タンパク質と脂質類がその数値より少ないでしょう。こんな食事で太らず痩せた体格でした。
痩せた猿は、若かった！
「仙人」は痩せた長寿者か？
仙人（せんにん）とは、中国の仙境にて暮らし、仙術をあやつり、不老不死を得た人を指すのだそうです（wikipediaから）。
実際の仙人を見た日本人はいないのですから、昔の日本人が描いた仙人のモデルは、非常に長生きしていた長寿者の姿かもしれません。
仙人は痩せて描かれています。長寿者は「霞を食って生きている」と言われるほど少量しか食べなかったのでしょうか。昔も裕福で太った人はいたでしょうが、仙人のモデルにはなりませんでした。長寿者は痩せた人だったからでしょう。
痩せたサルは若かった！
外国での有名な実験です。猿を飼育する時、生まれた時から猿を二つの群に分けて育てました。一つの群はこれまでどおりの食餌を与え、もう一方の群にはそれよりも少ない食餌しか与えませんでした。
こうやって育てた猿を観察した結果、成長して年老いた時に、食餌が少なくて痩せている群の方が、食餌を十分に与えた群よりも明らかに若く見えました。
食料が少なく少し痩せ気味の方が、老化は進まないことが猿で明らかになったのです。食べ過ぎて太れば、老化を速く進めてしまうのでしょう。
人間も、健康な長寿者は痩せた人に多く、太った人に長寿者が少ないのはこの猿の実験からもよく理解できます。
日本の正常は BMI 25以下、当院の総平均は BMI 23.9
現代の日本人は明らかに太りすぎだと思います。厚生労働省の公表基準では、BMIが25までを正常範囲としています。しかし、この基準は少し高いと感じます。25を超えてやっと肥満度１度になります。
当院で治療中の患者さんの平均はBMI23.9でした。みなさんもBMIが22以下になるよう減量に努力してください。
もし可能なら20以下になっても結構です。ただし元々の体質である場合は除き、17台以下にならないようには注意してください。
＊参考情報：BMI = 体重(Kg)/[身長(m)x身長(m)]
この体型はBMI 18前後でしょう。日本人の若い女性なら問題ありません。
高校生のよい体格は、18<BMI<20
