研究結果要約を引用した全文:
2週間運動を休むと筋力が大幅に低下する
提供元:HealthDay News 公開日:2015/07/24
体力のある人が2週間運動をしないと、筋力が大幅に低下することが新たな研究で示された。この短い期間でも、若い人で約30%、高齢者では約25%の筋力低下が認められた。また、元の筋量が多い人ほど、けが、病気、休暇などで運動を休んだ場合に失われる筋肉量も多いことが明らかにされた。
研究を実施したデンマーク、健康加齢センターおよびコペンハーゲン大学生物医科学部のAndreas Vigelsoe氏は、「われわれの実験から、運動をしないと若い人でも高齢者でも同じように筋力に影響することが明らかにされた。片脚を2週間動かさずにいた場合、若い人では3分の1もの筋力が失われ、高齢者では約4分の1が失われる。若い男性が2週間の運動不足で失う脚の筋力は、40~50歳分の老化に相当する」と述べている。
通常、総筋肉量は加齢とともに低下し、若い男性は高齢の男性に比べ、筋量が片脚につき約900g多い。しかし今回の研究では、若い男性が2週間全く動かなかった場合、平均約500gの筋量が失われていた。なお、高齢の男性では約250gの低下がみられた。
同センターの研究員であるMartin Gram氏は、「筋量が多いほど失う量も大きい。つまり、もともと体力のある人がけがをした場合、体力のない人に比べ、同じ期間でも多量の筋肉を失う可能性が高い」とする一方、「高齢者は若い人よりも失う筋量がやや少ないが、高齢者にとって筋量低下は重大であり、全体的な健康状態や生活の質への影響も大きい」と指摘している。
今回の研究では、対象者は2週間の運動制限の後、自転車でのトレーニングを週3~4回、6週間実施した。この運動により体力の回復がみられたが、筋量は期間中に完全には戻らなかった。
「残念ながら自転車トレーニングでは、対象者は元の筋量を十分に取り戻すことはできなかった。しかしこのトレーニングは、筋量低下から回復して健康状態を取り戻すためには十分に有用である。もし筋量を以前の水準に戻したければ、ウェイトトレーニングを取り入れる必要があるだろう」とVigelsoe氏は述べている。元の筋量に戻るまでには、運動しなかった期間の約3倍の期間を要するとGram氏は指摘している。