「とんぷく頓服」とはどんな薬？　◆550

「頓服（とんぷく）」の意味

当院では薬袋（やくたい）の前面に「頓服（とんぷく）」と朱字で書いて薬が出ることがあります。患者のなかにはこの「頓服」の意味が分からなかったり意味を間違えている人がいるので注意ください。

昔からよく使われる医療用語ですが、日常生活ではあまり使われないのでこの言葉を初めて聞く人や何のことか分からない人も多いと思われます。

「とんぷく」という名前の薬ではありません。

「と んぷく」とは何かの症状が現れた時、その症状を抑えるための薬を臨時に一回だけ飲むことを言います。この治療は原因を元から解決する方法ではなくとりあえず「症状に蓋をする」という意味の対処療法です。

病気を根本から治すのではないので、一時的にその症状を緩和するだけの効果しかありません。ですから一旦症状が治まったら本格的な治療のために病院で病気の本質を診断して病気を元から治すための治療を始めなければなりません。

一例は、のどの扁桃腺炎で熱が出た時、熱を下げるために一時的に解熱剤＝鎮痛剤（熱さまし＝痛み止め）を頓服するのは良いですが、扁桃腺炎を根本的に直すためには原因となる細菌を殺すための抗生物質を病院で処方してもらわなければなりません。

また夜中に胃が痛む時は常備薬の胃薬を飲んでいったん症状を抑えるのはよいですが、いずれその原因（胃炎、胃潰瘍、胃癌、等）を調べるために検査して根本的な治療を開始する必要があります。

このように一時的に症状を抑えるための薬を内服するのを「とんぷく＝頓服」と言います。

「頓服」を使うタイミング

熱が出た時、
頭が痛い時、
咳が激しい時、
鼻水が多く出る時、
じんましんの時、
めまいの時、

喘息で息が苦しい時、
お腹が痛い時、
吐き気が強い時、
心臓発作で胸が痛い時、
心不全発作の時、
不整脈でドキドキする時、

胆石の発作の時、
腎結石・尿管結石の痛みの時、
膀胱炎症状が強い時、
寝付けない時、
強い緊張・ストレスがある時、
血圧が急に上がった時、
等に

その症状に合った薬を一回飲んでとりあえずその症状を緩和します。「とんぷく」で使う薬はその病気や症状によって違います。

当院では「とんぷく」の薬袋の前面に記載した症状（頭痛、腹痛、せき、めまい、喘息発作、狭心症発作、不整脈など）の時だけその薬の効果があります。それ以外の症状では効果がありません。時には有害となる場合もありますから薬袋の前面に指定した症状以外では使わないで下さい。

薬の保管期限

当院で処方する薬は製造年月日の新しいものを在庫するようにしています。特別の説明がなければ錠剤なら引き出しや缶などに保管すれば、処方した日（薬袋に印字してあります）からほぼ１年間くらいは使えます。飲み残した薬は保管してまた別の機会に使って下さい。

続く・・・

病気を上手に克服して、残り人生をより健康にするには・・・

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