要旨: この学会報告から推測される解釈は、日本人を含むアジア人は少しでも太ると糖尿病になりやすいことです。欧米人なら太りと言わない程度の体格(BMI 23)であっても、私たちなら容易に糖尿病などの病気になります。太りに非常に弱い民族であることを示唆します。やはり、私たち日本人は、BMI 22以下のスリム体型の維持が、健康の基本だと考えるのがよいでしょう。このテーマについては、別のコラム(◆032 痩せるが一番! 日本人は痩せてて健康な民族?)でも詳しく解説しました。
アジア人、BMI 23で糖尿病検査を推奨 【米国糖尿病学会】 米国糖尿病学会が糖尿病のスクリーニング検査推奨のためのBMI閾値を変更しました。
2015年1月15日 米国学会短信 「m3.com 臨床ニュース」から全文を引用
引用の本文
米国糖尿病学会(ADA)は12月23日、アジア系米国人において、2型糖尿病のスクリーニング検査を推奨するボディマス指数(BMI)のカットポイント値を、これまでよりも下げるとする見解を表明した。Diabetes Care誌の1月号に掲載。同時に、ADAのガイドラインにおいて、多くのアジア系米国人が一般的な人口集団よりも低いBMIで2型糖尿病を発症しているというエビデンスを掲載している。
今回の見解では、糖尿病に罹患しているアジア系米国人とその他の人口集団の間に認められる生理的な差異を初めて強調した。ADAが糖尿病スクリーニング検査を推奨する一般集団におけるカットポイント値はBMI 25だが、今回、アジア系米国人に関する広範な文献レビューに基づき、アジア系米国人についてはカットポイント値を23に設定した。米国で急増するアジア系米国人は体脂肪が腹部に蓄積しやすい傾向にあり、疾患リスクという視点から見ると、大腿などの部位の脂肪よりも有害な脂肪となる。
今回のADAの見解は、アジア系米国人における2型糖尿病スクリーニング検査のためのBMIカットポイント値が示されただけで、過体重や肥満の新たな定義は示されていない。しかしADAはアジア系米国人でのカットオフ値の設定について、「将来糖尿病になりやすいアジア系米国人の鑑別に有益だ」と述べている。
当院の見解
この報告から推測されることは、日本人を含むアジア人は太ると糖尿病になりやすいことです。白人系の欧米人ならその程度ではびくともしない太り(BMI 23)であっても、私たちは比較的容易に糖尿病など代謝性の病気になってしまうことです。太りに弱い民族であることを間接的に示しています。やはり私たち日本人は、BMI 22以下のスリム体型が標準だと考えた方がよいでしょう。
この問題については、別のコラム(◆032 痩せるが一番! 日本人は痩せてて健康な民族?)で解説しました。
【関連リンク】
American Diabetes Association Releases Position Statement on New BMI Screening Cut Points for Diabetes in Asian Americans