風邪かアレルギーか?
こんな患者さんを診察すると直感的に風邪ではなくアレルギーを疑います。アレルギーと風邪は症状が大変似ていますのでその区別はなかなか難しく、私たちも判断に迷うことが度々です。
しかし上に示した患者さんはほぼアレルギーのように思えます。こんな方に風邪の抗生物質を処方してもよくなりませんので抗アレルギー剤を処方して様子を見ますとほとんど一回で決着がつきます。
そしてしばらくの間その抗アレルギー剤を続けてもらえば軽快し、それ以後は同じ症状の時には同じ抗アレルギー剤を内服するように少し多めに薬を渡しておきます。
風邪とアレルギー:症状の違い
風邪とアレルギーは症状が本当に似ています。
その区別は一応、熱があるか無いか、全身のだるさはあるか無いか、鼻水や痰の色が黄色いか透明(白)か、病気の期間が短いか長いか、同じことが繰り返すかどうか、同じ季節に毎年起こっているか、同じ条件(夜寝ている時だけ症状が出る等)でしか起こらないか、血液検査で白血球に変化があるか無いか、などですがそれでも分からないことも多々あります。
迷ったら診断的治療
判断に迷う場合は私は診察回数をできるだけ減らすために、抗アレルギー剤と抗生物質を同時に処方して、まず抗アレルギー剤を数日間飲んでダメなら中止し次に抗生物質を飲んでみるという順序の方法を取っています。
どちらが症状に効果的かで診断するわけです。これを診断的治療と言います。治療の効果によって診断をつけるわけです。
血液検査での白血球やIgE抗体検査、皮膚のパッチテストも診断と治療にはあまり実際的ではないことが多いのです。
結局、「診断的治療」という薬の効き方でその病気がバイキンの感染かアレルギーかを判断することになります。医療の現場ではよくある実際的な方法ですが、この方法でほぼ決着がつき大きな不便はありません。
市販の風邪薬には少量の抗アレルギー薬が入っていますのでしばらく服用すればアレルギーであっても風邪薬が効いたと思ってしまいます。そして自分は風邪だったと誤解してしまうでしょう。ちなみに市販の風邪薬には抗菌作用のある抗生物質は入っていません。