薬の飲み方に強いこだわりを持つ方が時々いますが、あまり厳密に考えないほうが治療のうえで実際的です。
確かに”食後”に服用と指定される薬は圧倒的にたくさんあります。しかし薬の種類によって食事との関係に少し差があることを知っていると便利です。
胃や腸の薬
胃や腸の薬は食事との関係が深いですから、食事をしない時には服用もしないものがあります。しかし食事をしないでも服用したほうが良いものもあります。
糖尿病の薬
糖尿病の薬も食事との関係が密接です。服用指定が”食前”のものと”食後”のものがあります。しかし食事をしないときはどちらの薬も飲まないのが原則です。
コレステロールの薬
コレステロールの薬は脂肪代謝の特徴から、夕食後の服用が指定される傾向があります。夜の外食で飲み忘れてしまっても、帰宅して寝るまでに飲めば結構です。
風邪など細菌感染で使われる抗生物質
風邪などの細菌感染で使われる抗生物質は血液中の薬剤濃度が重要です。従って食事に関係なく時間毎に内服するのが良いでしょう。一日に1回なら24時間毎に、2回なら12時間毎,一日に3回なら8時間毎,4回なら6時間毎に内服と,食事と無関係に出来るだけ時間毎に服用すれば薬の血中濃度をよく保つことが出来ます。”食後”より”時間毎”の方が殺菌に効果的だと思います。ただこの飲み方は少し面倒です。予定時間をずれても構いませんから、そのあたりの前後1,2時間に飲めば結構です。
心臓病や高血圧の薬
心臓病や高血圧の薬は食事とあまり関係ありません。”食後”の指定であっても、食事を取る取らないに関係なく一日を決まった飲み方できちんと内服する必要があります。心臓病と高血圧の薬の効果は長くて12時間から24時間しかありません。「食事をしなかったから薬も飲まなかった」、こんな必要はありません。たとえ食事を取らなくても、ほぼその時間に飲んでくだされば結構です。
心臓病や高血圧の薬では、”食後”という言葉にあまりこだわらないでください。”食後”なら飲み忘れが少ないでしょう。”食後”は薬を飲むタイミングの”目安”として便宜的に利用していると考えてください。食前でも、食中でも、食後でも、飲まないより飲む方が意味があります。
しかし以上の説明には例外もたくさんあります。自分の飲む薬について不安があれば相談してください。分かり易くお話します。
★注意
患者さんの背景に違いもありますから、当院の患者さん以外の方は主治医に確認して下さい。