薬とは極端に言えば「極く微量の毒をもって病を制す」ものです。その 毒としての性質を上手に利用し、極く少量で病気治療に有用な薬として使うのです。もし大量に使えばどんな薬も有害になります。
副作用が起こることを事前に知るのは不可能です。しかし不幸にして万一起こった時は早期発見し小さな問題で終わらせることが大切です。
心臓病の薬の副作用の早期発見には、定期的な診察とこまめな心電図、血液・尿等の検査が大変重要です。
薬の副作用を過剰に恐れる必要はありません。予防と対策をきちんと立てておいて万一起こった時の被害を最小にする工夫は怠りなくということです。
薬とは本来有害な側面を持つ
心臓病の薬の副作用を心配している方は随分大勢いらっしゃるようです。
一 般的に言えば、どんな薬であれ多くの薬は本質的に有害な側面を持ったものなのです。薬とは極端に言えば「極く微量の毒をもって病を制す」ものです。その 毒としての性質を上手に利用し、極く少量で病気治療に有用な薬として使うのです。もし大量に使えばどんな薬も有害になります。
副作用のない薬はありません。しかし皆さんが心配するような重大な副作用は滅多に起こりません。日本の医薬品は国や製薬会社で厳重に調査され管理されており、世界的に見てもかなり安全と言って良いでしょう。
も し皆さんが薬の添付文書を詳しく読めば、その副作用が不安になって薬を飲めないでしょう。それほど薬には多くの怖い副作用が列挙されています。
しかしどの 副作用も滅多に起こりません。私たちはそのことを十分理解していますので不安なく処方できます。またもし自分が病気になった時も不安なく薬を飲むことが できます。
心臓病の薬は心臓に直接作用する
上の話は一般的な薬のお話しでしたが心臓病の薬は少し様相が違っています。心臓病の薬は直接的に心臓の細胞に影響を与えます。その効果で心臓の悪い状態を押さえ込んで心臓が正常に近い機能を発揮するように作られています。
しかし薬が効きすぎた場合や患者の体質によっては心臓細胞に思わぬ悪い効果を及ぼすことがないとは言えません。特に副作用として薬の効果が強すぎた場合に問題があります。
何しろ心臓は5秒間動かないだけでも意識がなくなるほどで、短時間の機能低下がただちに命に直結するような臓器です。薬の副作用がその他の薬と比較にならないほど影響が大きいのです。私たちも心臓病の薬を投与する場合には非常に神経質で慎重となります。
◆過量による問題
第一番に大切なのは過量による副作用です。これは副作用というより薬の効き過ぎのために起こる心臓の機能異常です。
意外に思うかもしれませんがこんなことが起こり易いのです。薬の効き方には個人差が大きいからです。厚生労働省が定めた通常範囲の投与量であってさえ人によっては過量になることがあるのです。
たとえば高齢者、腎臓病、肝臓病がある、脱水、過労、重い風邪や細菌感染にかかった状態では特にそれが起こりやすいのです。それまで飲んでいて何もなかった方でも、そんな時には急に薬が効き過ぎとなって重大な副作用が表に現れてくることがあります。
◆薬が本来持つ悪い効果
第二番の問題はその心臓病の薬が本来持っている心臓に対する悪い効果です。
悪い効果しかないものが薬にはなりませんから、まず良い効果が確認されているのですが、不幸にも悪い効果も同時に併せ持つことがあります。
悪い効果の発生に注意しながら良い効果を利用して慎重に投与していくことになります。この問題は個別の薬毎に事情が全く違いますので飲んでいる薬について主治医とよく相談して下さい。
心臓病専門医ならその問題は投与を始める前に患者さんにお話しするでしょうからそんな話がなかったのならこの問題点は考えなくて良いでしょう。
◆薬は個人差が大きい。少量から始めるのが方針
一般的ですが、薬は少量の投与から始め副作用のないことを確認しながら、できるだけ少量で最適な効果を求めて増量していくのが方針です。
心臓病の薬はその副作用で致命的になることもあるのでなおさら慎重にならざるを得ません。
当院では普通の薬以上に慎重に少量から開始し薬剤の血中濃度や悪影響、副作用を必ず定期的(出来れば月一回)にチェックして過量投与となっていないことを確認しながら投与量を少しづつ増やしていきます。
血中濃度は正常域が公表されてますがそれより低くても効果がある場合が多いので、可能なら正常域以下の血中濃度レベルでコントロールしていきます。
しかしこの方法は心臓病として比較的軽い人には安全で有効ですが、重症な心臓病の人では十分な効果が得られないかも知れません。
◆信頼できる薬を使用
当院では安全で信頼でき確実な効果があることが専門家によって検証され確認され論文として公表されそれを信用ある製薬会社が製造した医薬品だけを採用します。
分かり易く言いますと、十分に信用できない薬やそんな薬を作る製薬会社はマスコミでどんなに騒いでも当院では使いません。自分が病気になったとき不安で飲めないような薬を患者さんには使えません。