「火事場の馬鹿力」
心臓に負担となる事はたくさんありますが、健康な心臓は非常に大きな予備能力がありますから一時的に大きな負担がかかっても十分対応できます。
「火事場の馬鹿力」と言いますが、突然重大な危険が迫った時に自分でも驚くほどの力が出てその場を乗り切ることが出来るのです。心臓はそんな時では日頃の何倍もの力を発揮してくれます。
健康な心臓はそれほど優れたエンジンなのです。こうやって人類は幾多の危機的状況を乗り越えて進化を続けて来れたのです。
負担が長期間続くと
しかしその負担が一時的ではなく長期間に及ぶ場合は、さすがに心臓もその大きな負担に応えたための弊害が表れます。長く大きな負担による心臓の過労と言っていいでしょう。
ではこの心臓の長期に及ぶ負担とはどんなものでしょうか。もっともありふれた原因は高血圧です。高血圧とは心臓に非常に重い負担であることを理解して下さい。
その他には心臓弁膜症、長期のストレス、過酷な運動(プロスポーツ選手など)、長期間の貧血、甲状腺機能亢進症、長期間の速い脈(頻脈)、先天性の心臓病(生まれつきの病気)、肺の病気、ある種の薬剤、長期に及ぶ過量のアルコール摂取などです。
肥満は心臓への負担
さらにもう一つの原因が肥満です。肥満とは脂肪を溜め込んだ細胞が増加することです。この脂肪をたくさん貯めこんだ細胞は単純な脂肪貯蔵庫ですから、そこへ血液の栄養を大量供給しなければならないわけではありません。
従って脂肪の貯蔵倉庫の細胞が増えたからといって、安静時なら心臓から送り出す血液量を増やさなければならないわけではありません。
一方、重い体で活動する時には、筋肉や骨格の運動系細胞や肺などの呼吸機能系の細胞では負担が増えるのは間違いありません。
活動時では、体重の多い方が心臓はより多く の血液を全身の筋肉や肺に送り出さなければなりません。このように日常生活で動き続ける人間にとって肥満は確実に心臓に持続的な負担となっています。
まったく健康な心臓であればその程度の負担に応えるのは訳ないことですが、それが長期の場合には心臓の過労をもたらすでしょう。まして病気で弱った心臓なら、肥満は確実に心臓を衰弱させると理解して下さい。
過労での心臓の症状
どのような種類の負担であれ、長期間の心臓への負担で心臓が過労となり疲弊すると不整脈や心不全の症状が表に現れてくるようになります。
不整脈や軽い心不全が表れた時には心臓は既にかなりダメージを受けてしまっています。症状がまだ軽いから心臓のダメージは軽いと思わないで下さい。
症状が出た時、ダメージはかなりのレベル
簡単な数字でお話しするのは難しいのですが、分かりやすく喩え話をしてみます。健全な心臓なら最大限「100」の力を持っていると仮定します。予備力が非常に大きいですから、普通の日常生活なら能力の「20」程度で活動できているとします。激しい運動や特別な時だけは「80」以上の力を出すのです。
もし病気で心臓が弱って、少し強い運動した時に息切れがでるようなら心臓の最大能力は「100」から「50」くらいまで落ちているかも知れません。もし最大能力が「30」くらいまで落ちていれば、階段を上るとか普通の日常生活程度の運動でさえ息切れなどの心不全症状が出てしまいます。
症状がまだ軽いから心臓の障害は軽く「80~90」程度の最大能力はあると考えるのは間違っています。
繰り返しますが、運動などで負担をかけた時に息切れなどの症状が出るようなら、自分が健康であると考えている人であっても、心臓の最大能力はすでにかなり落ちていると考えて下さい。
是非、肥満の解消を
肥満が悪さをするのは心臓だけではありませんが、心臓だけに焦点を当てても悪い事であると認識してください。実際10キロ痩せた人は動きが非常に楽になる事を実感します。10キロの負担が如何に自分の体(心臓など)に大きかったかが分かります。
健康体でさえこうです。もともと心臓病があり心臓の力が弱っているなら肥満はさらに過酷な負担となっています。痩せるだけで薬より大きなメリットが得られるでしょう。
心臓をいたわるには体重を軽くし心臓への負担を減らすことが肝要です。あたかも自動車では重量を軽くして車のエンジン負担を軽くするように・・。高性能のレース用自動車は極限まで車体重量を軽くしています。心臓のためにも自分の肥満の解消を是非実行して下さい。
続く・・・
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