第一線クリニックで多い病気
病院の役割によって病気の構成は大きく異なります。地域の中核病院と違って私たちの様な第一線クリニックなら、こんな症状を示す患者で一番多いのは日頃の運動不足で身体機能が落ちている場合でしょう。これは病気ではありません。
原因が病気であるなら高血圧、貧血、肺の病気、癌などの悪性腫瘍、肝臓病、腎臓病、体力消耗疾患、慢性の感染症、膠原病、甲状腺疾患、うつ病、心臓病などがいろんな病気が想定されます。
心臓病なら心不全を想定しますがそんな患者は実際には多くないと思います。 私たちのクリニックで心臓病の患者は少くないですが初めて心不全で来院する人は稀です。当クリニックに通院する心臓病患者で心不全になる人もそう多くありません。
心不全になってから見つかる心臓病
心不全となる心臓病はたくさんあります。その病名を全部並べても皆さんには何の役にも立たないでしょう。普段から元気に生活して心臓の病気のことは気にしていなかったが、少し前からこんな症状が起こってきた人を想定します。
「この症状は何の病気だろう?、もし心臓ならいったいどんな病気だろう?」と疑問が起こったと想定してお話しします。
健康な人におこった心不全
年齢によっても起こり易い心臓病は違いますから一般的に話すのは大変難しいのですが割り切って話します。このようなタイプの代表は、心房細動、心筋梗塞、心臓弁膜症、高血圧性心筋症、心筋炎、拡張型心筋症などでしょう。
年齢や性別によっても頻度は変わりますが、私たちのクリニックなら一番多いのは心房細動です。心筋梗塞はかなり少なくて二番目でしょう。それ以外は相当少なくなります。心不全までなるならどこかの病院で診断がついて病気で既に治療をしているでしょう。
心房細動と心筋梗塞後
心臓病があっても気づかずに日常生活を普通に続けある時心不全が発症して初めて心臓の病気があったことに気づくケースで最多の二つの病気を取り上げます。
●1)心房細動(慢性心房細動と発作性心房細動)
心房細動は70歳以上から患者数が急増しますが50歳頃までなら数少ない病気です。初めて心房細動になったときの症状は人によってバラバラです。
その瞬間に非常に苦しくて「これで死ぬかも・・」と感じて苦しむ人から全く何も感じなく平気でそのまま日常の仕事をこなす人まで非常に幅広いのが特徴です。
個人的な印象ですが心房細動になって明確な症状が出る人とほとんど無症状に近い人は、その比は4対6で軽い方が多いと思います。
無症状や軽い症状の人は全く病気に気付かず普通に生活しています。定期検診などで心房細動が偶然発見されなければ、いずれ心不全や重い脳卒中になってから心房細動の存在が発見されます。
もう一つは正常な人に突然起こった発作性心房細動で同時に心不全もなる人です。心房細動になった瞬間に心不全も起こす人は数少ないですがあります。
●2)痛みのない心筋梗塞
心筋梗塞の発症は男性なら30歳代であり得ますが通常は50歳以上の年齢で発症するでしょう。女性なら月経が終わる45~50歳以上から起こり始めますがそれ以下の若い年齢なら普通はまずなりません。もしなればかなり例外的で特別な理由があるでしょう。
(1)糖尿病はもし心筋梗塞になっても痛みの症状をほとんど感じない無症状でそれと気づかないことが時々あります。
そのまま気付かずに放置し病気が進行し随分と後になってから心不全症状が出て初めて過去の心筋梗塞が発見されることがあります。それまで自分が心筋梗塞になったことを知らずに生活しています。
(2)糖尿病がなくても小さな無痛性の心筋梗塞を繰り返しその集積した傷害心筋の結果で大きな心臓ダメージとなり心不全が現れてくるケースがあります。
この場合もそこに行くまでは普通の日常生活を送り自分の病気に気づきません。結局病気が相当に進行してから心不全になりはじめてこの病気の存在が発見されます。
続く・・・
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