

早期発見の鍵は症状

心臓の病気を軽い早期に発見することは、その治療効果から非常に大切です。遅れればダメージが強く回復が厳しくなります。時には一瞬で生命の危機に直面します。
心臓の病気は分かりにくく難しいと思われています。早期発見の「鍵となる症状」も知らない人が多いでしょう。
今回は、この心臓の病気の全貌を簡単に分かるよう説明します。早期発見に役立てて下さい。
病気の分類は「症状」を基本にしました。誰にも分かり馴染みがあり取りつきやすいでしょう。
よくある代表的な病気だけを大まかに知るなら十分だと思います。
心臓病の全体像を少し詳しく解説したコラムです
心臓の病気の種類には?
心臓の病気 「よくある症状」

心臓の病気を「よくある症状」から眺めます。
心臓の症状は心臓以外の病気の症状ともよく重なります。診療の現場では、その症状が心臓由来かそれ以外の病気由来かを厳格に区別します。
当院の経験では、もともと健康な人なら症状の多くは心臓以外の病気が原因である可能性が高いのです。
しかし説明を単純にするために、症状は心臓が原因の前提でお話をすすめます。この点によく注意してください。
1)脈が速い、脈が遅い
最もよくみる症状です。
2)一瞬のドキン
これもよくある胸の症状です。危険な場合があります。注意が必要です。
3)しばらく続くドキドキ
それほど珍しくない症状です。危険な可能性もあります。受診を考えましょう。
4)胸が痛い・胸の圧迫感
近年増加しているこの症状は、見過ごしてはいけない危険な症状です。
5)めまい・気を失う(失神)
この症状の数は少ないですが、絶対に放置できないサインで、待ったなしです。
6)疲れやすい・息切れ・ハーハーする
心臓の病気が重大な局面に入った兆候です。病気を確定し治療を急いで下さい。
以上の代表的な六つの症状を基に、心臓の病気を簡単に説明します。
簡単に心臓病の早期発見で、前兆や初期症状を知るなら・・
◆337 心臓病の早期発見 前兆・初期症状をやさしく学ぶ(初心者用)
心臓病の症状の全貌を詳しく知りたいなら・・
Web 心臓病■01 症状のリスト:症状→病名を探す
(1) 脈が速い、脈が遅い
・・・心臓が速く動く(頻脈)、遅く動く(徐脈)・・・
(2) 一瞬のドキン
・・・心臓の正確な拍動リズムに一瞬の乱れ・・・

心臓は規則正しく動き続けています。状況で速くなったり遅くなったりしますが、時計のように正確なリズムで拍動しています。
この正確な動きに乱れがでた病気を「不整脈」といいます。不整脈の種類は多く症状も多彩ですが、「一瞬のドキン」はその代表的な症状です。
正常では感じない心臓の動きを感じるなら、感じること自体が異常です。その感じた心臓の拍動を動悸といいます。
何かの危険な心臓の病気が隠れている可能性があります。受診を勧めます。
代表的な不整脈の期外収縮について少し詳しく紹介します。
期外収縮の症状の説明なら・・
◆097 一瞬ドキン (ドキッ) これはどんな病気? 期外収縮
期外収縮の様々な解説は・・
特集:期外収縮 症状・リスク・誘因
(3) しばらく続くドキドキ
・・・心臓が異常な速さで拍動する・・・

これも「不整脈」の可能性があります。連続してしばらく「ドキドキ」が続く場合は、頻脈性の不整脈かもしれません。
この不整脈は一回限り単発の「ドキン」とは違い、異常が続くので病気としてのレベルが上がります。
注意すべきは、危険なタイプであっても症状は軽い場合が珍しくない事です。症状だけから危険性を区別できません。
早く手を打つべき危険なタイプがありますから、そのタイプを確定するために、早めに病院受診を考えて下さい。
速い動き(頻脈性)の不整脈について少し詳しく紹介します。
速い脈の不整脈の症状は・・
◆107 急にドキドキして、しばらく続く これはどんな病気? ー頻脈性不整脈ー
頻脈性の不整脈の様々な解説は・・
Web 心臓病■03 速い脈(頻脈)
(4) 胸が痛い・胸の圧迫感
・・・心臓へ栄養を供給する血管が老化で細くなった・・・

心臓が活動するために必要な栄養は血液からもらいます。その血液を心臓に供給する血管を「冠動脈」といいます。大切な冠動脈は三本あって心臓の周りをぐるりと囲むように張り付いています。
この血管の病気を「冠動脈疾患」といいます。原因は老化ですから高齢者の病気ですが、最近は若い年代にもおこり30~40歳代の患者が増加しています。
例え話で言いますと、水道管や下水道管が長い年月で劣化して、中にこびり付いたゴミで管内が狭くなったり詰まってしまった状態です。
軽症段階が狭心症で、進行し重くなった段階が心筋梗塞です。どちらも症状は胸の痛み・圧迫感・違和感ですが、個人差が大きく多彩なバリエーションがあります。
この症状は見逃せない病気の危険な前兆です。
狭心症・心筋梗塞の詳しい症状説明なら・・
◆290 狭心症・心筋梗塞 前兆・超早期の発見は、静かな症状に注目!
狭心症・心筋梗塞の様々な説明は・・
特集:狭心症・心筋梗塞 症状・治療・リスク
(5) めまい・気を失う(失神)
・・・心臓の病気でめまいや失神する・・・

心臓が短時間動きを止めたか、拍動が遅すぎることでこの症状はおこります。
心臓は一分間50回(脈拍数)以上で動きますが、40回以下になると全身への血液供給量が相当に不足します。
静かにしていればまだ大丈夫ですが、歩いたり動くとすぐに息が切れたり疲れるでしょう。また脳への血液供給の不足から頭がボーとなります。
もし5秒以上心臓が動きを止めれば、脳細胞は直ちに不調となり意識が低下したり意識を失います。「めまい」や「失神」となります。
意識はすぐ回復しますが、非常に危険ですから直ちに治療が必要です。
この症状は絶対に放置してはいけないサインで、待ったなしです。
めまいや失神の具体例なら・・
◆303 動くとひどく疲れる、脈が遅い。これはどんな病気? ー脈の遅い心不全ー
めまいや失神の様々な解説は・・
Web 心臓病■04 気を失う(徐脈ほか)
(6) 疲れやすい・息切れ・ハーハーする
・・・心臓が弱って出力パワー不足になった・・・

心臓が弱ってパワーが大きく低下しました。血液を送り出すパワーが絶対的に不足してきました。
全身臓器への血液供給が不十分となり、栄養不足になった全身臓器の活動レベルが大きく低下します。
軽い動作でも疲れやすく、息切れやハーハーします。足や顔、全身にまでむくみが出るかも知れません。
心臓の病気がついに重大な局面に入った兆候です。
心不全の原因となる心臓の病気はたくさんあります。
心房細動、狭心症・心筋梗塞、高血圧性の心不全、頻脈性の不整脈、徐脈性の不整脈、心臓弁膜症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、ウイルス性心筋症などが代表です。
心不全の初期症状の説明なら・・
◆325 心不全の前兆や初期症状 ありふれて、間違えやすく、治りにくい
心不全の様々な場面の解説は・・
特集:心不全 症状・治療・予防
心不全とは?を簡単に解説しました・・
◆266 心不全とは? たとえ話でやさしく説明 2018.6大幅改訂
そして・・、対策を知ること
病気を早期に見つけ、対策を考える
究極の対策は・・・
◆369 心臓を健康にする ー心臓病・心不全の超予防ー
検診で、心臓の肥大や拡大は、病気のサイン
◆157 心肥大や心拡大 心臓病になった可能性?
症状から、心臓の病気を早期に知る
◆387 心臓病の早期発見、「鍵となる症状」入門編
続く・・・
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