(注:サプリメントとは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ、生薬、酵素、ダイエット食品、栄養補助食品、健康補助食品などをさします)
自己努力でもう少し血圧を下げたい
医薬品をまったく飲まずに自己努力だけで高血圧を治したいと希望する人なら、その実行にはかなりの忍耐と努力を必要とするでしょう。もし実行できたとしてもどこまで下がるか楽観できないとお話ししました。それほど生活習慣の改善等だけで高い血圧を目標まで下げるのは難しいことです(◆高血圧 薬を飲まずに下げられますか?)。
高血圧の薬を既に内服している人で、血圧は下がってはいるものの、目標レベルから見るとまだ高めにある人は多いかもしれません。治療薬の増量、追加、変更で血圧が目標まで下がるのは分かっているが、諸事情から内服薬を変更したくないが血圧はもう少し下げたいと考える患者はきっと多いでしょう。
具体的な方法はあるか、今日はそんな視点をテーマにお話ししてみます。
生活習慣改善、サプリメント、民間療法は効果が曖昧
血圧を下げるための生活習慣改善はお話ししました。ストレスを減らし、減塩食を徹底し、食品を選び、肥満を解消し、スリム体型になり、タバコは止め、適度の飲酒、生活を規則正しく、十分な休養と睡眠をとり、適度な運動を毎日実行、糖尿病や高コレステロールを正常化、動脈硬化を改善、これら全てを上手にコントロール出来ればなにがしかの効果は得られると思います。まず出来ることから初めてください。
血圧を下げる効果ありとされるサプリメントや民間療法がありますが私は詳しく知りません。誰にでも十分な降圧効果があるかどうかも分かりません。しかし、もし降圧薬と同じ程度に血圧を下げるなら医薬品と同等です。普通は医薬品になって医師も使っているでしょう。
しかしそんな効果の高い飲み物や方法があるとは医師には知られていません。高血圧研究者が民間療法やサプリの効果を必ず正当に評価し報告しているとは限りませんが、もしかして医師にその素晴らしい効果がまだ知られてない(知らされていない)可能性も否定できません。
確かな効果があれば医薬品に
世界の製薬会社は新薬の種を目を皿のようにして探しています。医薬品同等に血圧を十分に下げる効果を持つサプリメントや民間療法があるなら必ず研究され、もし効果があれば医薬品や医療品として開発・販売されるでしょう。実際にそのような経緯で薬になったものもあるようです。
今もって噂のサプリメントや民間療法が医薬品になっていないなら、研究結果でそれに降圧効果がなかったか、副作用などの問題が多かったか、技術的に薬として製造できない問題があったか等々の理由が考えられます。
またはそれが製薬業界にとって大きな経済的不利益がある場合でしょう。
自ら効果を検証する
日常生活改善、サプリメント、民間療法などを試すのはよいと思いますが、お話ししたように、それらの効果は曖昧であり、確かな降圧効果がある医薬品とは違うと理解して下さい。
もし自分で検証を試すなら、自分に効果があるのかないのか確認しながら続けていくのが良いでしょう。検証しないで漫然とだらだら続けるのは勧めません。
副作用も想定すること
それを長く続ければ予期しない悪い作用(副作用)があるかも知れません。薬とは本来副作用があるものだと理解しなければなりません。どうやってそれを早期に発見するのかも大切な問題です。
発見が遅れれば健康問題に(時には命に)かかわります。しかし早期発見は自分では出来ませんから定期的に医療機関で血液検査等をして調べる必要があります。これは大切な事です。それを怠って副作用で重大な健康障害を起こして受診した患者を知っています。
以下に試す場合の効果の正しい検証法を話します。
自分でできる降圧効果の検証
血圧は様々な状況で大きく変化します。従って1,2回だけの測定で血圧の評価は出来ません。科学的に正しく降圧効果を評価する方法を知っておいてください。
以前家庭血圧の正しい測定方法をお話ししました(◆家庭血圧 誰でもわかる、測り方のコツ)。そこで書きましたが毎日規則正しい方法で最低2週間ほど血圧を測定し続けてグラフにしておきます。それから目的の日常生活改善、サプリメント、民間療法などを始めて下さい。始めたら開始前と同じ血圧の測定方法で血圧を測定し続けて記録をグラフにします。
日常生活改善、サプリメント、民間療法などを初めて2~3か月程度経過したら、開始前と最近の血圧グラフを比較してみてください。血圧が明らかに下方にシフトしているならその治療法は「あなたにとっては」効果があったと判断してよいと思います。あまり差がなければ2~3か月程度では効果がないと判断します。前後の期間の血圧の平均値を計算して比較するのも良いでしょう。
もっと長期の効果を知りたいなら、更に半年間その治療を継続してもいいでしょう。
ただし、その血圧の差が、季節変動(夏と冬の違い)や生活変化(仕事が忙しくなった楽になった、ストレスが増えた減った、塩分摂取が減った増えた、睡眠時間が不足した等)の様々な影響が血圧に表れただけの事もありますから、その効果の評価は皆さんが考えるほど単純ではありません。医師に評価を求めるのも良いでしょう。
医薬品の効果判定方法
自分には良い効果があったとしても、他人には全く効果がない場合もよくあります。その逆もあります。科学的な評価のためには数千人の患者が参加した数年に及ぶ大規模な効果検討の臨床試験が必要です。すべての医薬品はそのような方法で評価されて医薬品になります。
くれぐれも日常生活改善、サプリメント、民間療法などを始める前と後で1,2回血圧を測っただけで効果を判断しないで下さい。たかだか1,2回の血圧測定だけで降圧効果を評価するのは困難で間違っていると思います。
■薬が多いと感じる人へ
以下は自分の薬が多いと思っている人への参考です。
薬を増やしたくない背景は様々でしょうが、現在薬の量や種類が多すぎてこれ以上増やしたくないのかも知れません。どこまでの量や種類なら許容範囲でそれ以上なら多すぎるのか。
それは個人的な主観です。3錠でも多いのか、10錠以上なら多いのか。高血圧の程度にもよりますが、なかなか下がらない治療に抵抗する高血圧なら3~4種類の薬になることは珍しくありません。
薬漬け?
よく「薬漬け」と言われます。飲む薬が多いというだけで安易に「薬漬け」と言うのは間違いだと思います。
薬が多いと薬の副作用や相互作用が起きやすくなりますから、出来るだけ少ない方がよいのは当然です。従って病状が改善すれば薬を減らす努力を医師はするべきだと思います。