白衣高血圧とは?
白衣高血圧とは、普段は正常な血圧か少し高い程度であるにもかかわらず、診察時など医療機関で測定したり検診などで測定したりした時に異常に高い血圧になってしまうようなタイプを想定します。
緊張感、ストレスが原因
この白衣高血圧は、緊張感やストレスによって起こる一時的な血圧上昇であると考えられています。その緊張感やストレスから解放されれば直ちに血圧は正常近くに復帰することでしょう。
元来性格的に緊張しやすい人がなりやすい傾向ですが、そうではない人にもこのタイプの血圧上昇は珍しいことではありません。何時でも誰にでも白衣高血圧は起こる可能性があります。
白衣高血圧の悪循環
不幸にして何かのきっかけで一度そのような状況を経験してしまったら、「また高くなるのではないか?」と不安に思いますから余計にそんな状況で白衣高血圧になり易くなります。
そんな状況を繰り返しますと「落ち着かなければまた血圧が高くなる・・」と自分に言い聞かせるのですが、余計に緊張感が高まってしまいどうにも止められません。
すでにこんな状況に陥った人は、白衣高血圧に恐怖心すら持ってしまいます。そのままでは白衣高血圧が解消することはありません。何かの手を打たなければ自然消失する可能性は低いと思います。
考え方と自然の経過
最初に試してもいい方法は、精神的にその環境に溶け込むことでしょう。病院の待合室や診察室の環境に慣れて緊張感をあまり持たないようになれば高い血圧はそのうち自然に治まってくるものです。
私の患者の白衣高血圧の人ですが、慣れてくるのに4~5年もかかった人がいます。20年たってもまだ来院する前日から自宅で高血圧になっている人もいます。
こんな人はたとえ診察室高血圧であっても、自宅血圧は正常なのですから、心配しないように話して私が測る診察室血圧は参考値に見ています。家庭血圧を基準の目安に治療を決めています。
白衣高血圧の対処法
緊張感が誘発する高血圧であることが間違いないので、試しにその時に安定剤を一錠内服してから来てもらったことがあります。効果的のある人もいましたが無効の人もいます。これはあまり勧めません。
また診察室の血圧は高くても待合室でしばらく休んでから処置室で何気ない話をしながら看護師に再度血圧を測ってもらうと、よく下がっていることが珍しくありません。
病院で時間をおいて別の場所で血圧を2回測る(診察室とそれ以外)のは効果的でよい方法です。患者は診察室の高い血圧は緊張の白衣高血圧であり、それはリラックスすると正常化するのを身をもって納得できるからです。
無理に治そうとしない
高い血圧が白衣高血圧であると分かっているなら、当院ではあえてその診療時の高血圧を強引に下げる治療はせず、自宅の安定した家庭血圧を参考にして治療薬を加減します。
診察室高血圧を基準に薬を決めると家庭での血圧が下がり過ぎて、めまいやだるさなど不快な症状になり、患者は薬を止めてしまいます。
診察室での白衣高血圧と分かるなら、その現象を患者によく説明しその血圧の値は原則的に無視することにしています。それでも私は診察の度毎に血圧を測ります。数か月から数年(1年~10年)かけて診察室血圧は徐々に家庭血圧に近いレベルに落ち着いてくるものです。患者の心の慣れだと思います。
家庭血圧を毎日測る
毎日家庭血圧を測り続けることです。その血圧がいつもほぼ正常なら、病院、検診、ジムでの血圧が少しくらい高くてもそれは見せかけの高血圧であり、すぐに元の値に戻ってしまうものだと安心していればよいのです。緊張の高血圧を何とか解消しようと無理しない方が良いと思います。
白衣高血圧を何とか直そうとムキにならず、自然にその緊張状態が消えるまであるがままを受け入れる方が自然で正しい解決法だと思います。実際、白衣高血圧は一過性であり実質的に体に悪い影響は少ないのですから。
そして・・・
高血圧の五部作
血圧は高度に自動制御されている:
◆248 高血圧 測る度に違う。どの血圧が本当か?
高血圧にはハッキリと症状がある:
◆239 高血圧 三大症状
急に血圧が上がる理由は?:
◆080 安定していた血圧が急に上がった その原因は?
薬で下がり過ぎることもある:
◆254 高血圧 薬で下り過ぎると危険ですか?
薬でも下がらない訳は?:
◆064 薬を飲んでも、血圧が下りません
高血圧でも、長生きするなら・・:
◆258 高血圧 それでも、長生きできますか?