狭心症と闘っている人の生活スタイル改善のお話しです。狭心症とは心臓への栄養補給路(冠動脈)が老化し細くなって補給量が制限された病気です。
進行悪化すれば栄養補給が完全に遮断され心筋梗塞となります。命を失うこともある恐ろしい病気になります。
狭心症から心筋梗塞に進ませない方法は、この血管老化(動脈硬化)を如何に防ぐか、如何に若返らせるかです。その具体的方法は、
・ストレスを解消する
・過剰な体重を減量する(痩せる!)
・血圧を正常化する(高血圧を治す)
・適度な運動する
・コレステロールの善悪比を改善する(LDL-C/HDL-Cが1.5以下)
・糖代謝異常(糖尿病、境界型糖尿病)を正常化する
・高尿酸血症改善、禁煙、節酒等です
すべてを短期間に達成できれば、狭心症から心筋梗塞への進行を完全に防げるでしょう。易しい道ではありませんが、覚悟し決心すること、十分量の薬内服をためらわないことが必要です。
心配な時は医師に相談ください。
◆222 心臓病 症状から自己診断は、リスクあり危険
狭心症・心筋梗塞になった
狭心症になった!
狭心症になり病気と闘いながら生活しなければならなくなった人の生活スタイルについてお話ししたいと思います。
狭心症で当院に通院されている人は心筋梗塞にほとんどなりません。通院中の患者が心筋梗塞を新規に発症することは稀です。その結果、当院では狭心症の患者さんは少なくないですが心筋梗塞の患者さんはとても少数です。
狭心症の症状についてはここをお読み下さい。→◆心臓病 発症直前の警告サインを見逃すな
心筋梗塞への進行を止める
狭心症はご存じのように心臓への栄養補給路(冠動脈といいます)が狭くなったため、ここを流れる血液量が制限されてしまった病気です。原因はこの血管の老化です。老化がさらに進行悪化すると血流が完全に遮断され、栄養補給が不可能になる病気=心筋梗塞に発展します。
心筋梗塞とは心臓を養う血管(冠動脈)が完全に塞がってしまい血流が遮断された病気です。なった瞬間に命を失う可能性もある恐ろしい病気です。助かっても心臓は一瞬にしてかなり大きなダメージを受けてしまいます。
狭心症になった人が、今後の治療について考えなければならない大切な点は、どうやってこの心筋梗塞に進行させないかです。狭心症になったのは残念ですが、なったものは仕方ありません。心筋梗塞に進展させるかさせないかで、その後の人生が様変わりしてしまうほど大きな影響があります。
狭心症で命を失うことは絶対ないとは言えませんが、普通はまずないと考えてもよろしいでしょう。しかし心筋梗塞は、治療法が随分と進歩した現代でも、発症して24時間以内に命を失う人がまだ一割ほどいる緊急性の高い病気です。心臓病としては狭心症よりはるかに程度が重い病気です。
血管の老化防止と若返りが必要
狭心症から心筋梗塞に進ませない生活スタイルの原則は既にほとんどが明らかになっています。良くご存じだと思います。その一番の要点は血管の老化(動脈硬化)を如何に防ぐか、または老化した血管を如何に若返らせるかです。そのために具体的になすべき事は明白で以下の通りです。
●ストレスを解消する
●過剰な体重を減量する(痩せる)
●正常血圧を実現(高血圧を治す)
●適度な運動をする(定期的に継続する)
●脂質のバランスを改善する
●糖代謝異常(糖尿病、境界型糖尿病)を改善する
●その他(高尿酸血症、飲酒、喫煙等を解消する)
データ達成の目標値
過剰な体重の減量と高血圧の正常化は重要であり、達成で高い効果が得られます。比較的若い人なら禁煙も効果的です。
ストレスは極めて重要な血管老化(動脈硬化)の危険因子です。年代を問わずこの解消に最大限努めて下さい。
●体重の減量:BMI<23、まず5~10Kgの減量
体重はBMIで23以下を目標にしますが、体重が多すぎてそこまでは困難な方なら、とりあえず5~10㎏程度の減量を目標にしてください。
●血圧<125/75mmg
血圧は出来るだけ正常血圧(125/75mmg以下)を目標にしてください。
●コレステロールの悪玉・善玉比(LDL-C/HDL-C)<1.5
コレステロールのバランスは、悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比率(LDL-C/HDL-C)を1.5以下にしてください。
●食後2時間の血糖値<120、HbA1C<5.8
糖代謝異常があれば食後2時間の血糖値は120以下、HbA1cは5.8以下程度までに落してください。
以上の目標値は、本気で取り組めば実現可能な患者さんを想定しています。この目標値が余りにレベルが高すぎて実現不可能な人なら、具体的な目標値は主治医と相談して決めて下さい。
●究極の目標値は、健康な20歳と同レベル
要は動脈硬化防止に重要なデータを総て正常化する事なのです。健康な20歳と同じレベルのデータにすることなのです。このデータなら動脈硬化の進行は相当程度抑えられ、場合によっては老化した血管が若返るとまで予想できます。
以上すべてを短期間に達成できれば、心筋梗塞への進行を十分予防することが可能でしょう。
スピード感ある達成を
狭心症になったような人は、上で述べたどこかに複数の問題があると思います。どこにも問題のない人は少ないと予想します。心筋梗塞への進行を絶対に防ぐと決心したなら、今後はその問題点を全部、同時に、一気に解決するよう取り組んでください。
●決心し覚悟を決める
それにはまず本人の覚悟が必須です。「出来ればそうなりたい・・・」程度の願望ではまず実現しないでしょう。「絶対にそうする」決意をして明日から必死で実行することです。それほどこの目標値の達成は困難な道でしょう。
●生活改善は必須だが、それだけでは不十分
十分量の薬の内服を避けてはいけません。日常生活の改善は絶対に必要ですが、それだけで問題のデータが目標を到達できると考えてはいけません。
それだけで目標達成の実現はかなり困難です。もし実現できたとしてもそれまでに時間がかかり過ぎるでしょう。
●早い実現を目指す
目標に到達するのに時間をかけ過ぎるとそれまでに心筋梗塞になってしまうかも知れません。
目標達成のスピードが必要です。出来るだけ早く老化している体を若返らせなければなりません。
●強力な医薬品をフル活用
現代は幸運にも優れたよい薬が豊富に揃っています。そのパワフルな薬の力を存分に利用・活用することです。
薬の副作用などは心配しないで下さい。あったとしても大したことはありません。
●薬は最初から十分量を
医師の処方する薬を信頼して、まず一つだけを少量からなどとビクビクせずに、短期間で全部の問題を一気に改善するつもりで、十分量の内服を開始して下さい。
どんな薬をどれだけ飲めばそれぞれの目標値に到達できるかは医師が知っています。そのアドバイスを守ってください。
スピード感ある速い達成が大切です。半年以内に達成しましょう。
そして・・、狭心症なら
狭心症・心筋梗塞の五部作
胸痛を専門医が診断する手順:
◆062 胸が痛いのは心臓病? ーその診断方法ー
狭心症を早期発見する:
◆290 狭心症・心筋梗塞 超早期の発見は、静かな症状に注目!
発作から病気の重さを予想する:
◆349 狭心症・心筋梗塞 発作からわかる、緊急性と重症度
狭心症になり初めて診察:
◆130 狭心症の治療開始 初めての診察の風景
狭心症を、薬と生活で治す:
◆257 狭心症・心筋梗塞 食事・運動・薬でなおす
心臓病の究極予防:
◆369 心臓を健康にする ー心臓病・心不全の超予防ー
狭心症コラムの特集:
特集:狭心症・心筋梗塞 症状・治療・リスク
続く・・・
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