頻脈：安静で脈が８０台以上、続く時は病気が潜む？　◆560

運動している時や興奮した時、心臓がドキドキと早く動いているのは普通です。病気ではありません。

しかし健康で身体に何も悪いところはなくても、安静時に60前後だった脈拍数が、80台以上になって続く人は一度病院を受診し調べたほうが良いでしょう。

心配な時は医師に相談ください。
◆222 心臓病　症状から自己診断は、リスクあり危険

健康な脈拍数：年齢による変化

人間の脈拍数は生まれた瞬間が一番速く、成長とともに徐々に遅くなっていきます。成人する頃には安静で50台～７０台に落ち着いているでしょう。

ただしスポーツマンやいつも体をよく鍛えている人はもっと遅い脈かも知れません。脈拍数が４０台もありえます。

年齢が更に上がるにつれて脈拍はゆっくりと遅くなっていきます。８０歳代まで来ると、脈拍数は５０代から６０台までと遅くなっています。人によっては４０台の人もいます。これが人の一生の脈拍数の変化パターンです。

 

成人の脈拍数：５０～８０回/分

健康成人のほとんどは、平穏な安静状態なら、脈拍数が５０台～７０台で安定し、８０台にある人は少ないでしょう。９０台～１００台は非常に少ないでしょう。

それにもかかわらず平穏な安静状態で脈拍数が常時から８０～１００台を推移するなら、どこかに問題が隠れている可能性があります。 自分では健康だと自信があっても、体内に異常が潜んでいる場合があります。

８０台の脈拍数が２０歳代から10年～20年も続いているが、これまで何も問題はなかったなら心配ないかもしれません。

しかし最近になって、それまで６０台だった脈が８０台に上がって６０台に戻らず持続しているようならチェックする必要がありそうです。

 

運動や興奮時、速い脈は正常

運動している時や興奮した時に、心臓がドキドキと早く動いているのを自覚することは普通の事であり病気ではありません。

運動を止めたり興奮が収まればそのドキドキは消えてしまうものです。普通の健康な状態です。ただし運動中や興奮時のドキドキの「程度が強すぎる場合」は別です。

以下の様な場合は何かの病気が隠れている可能性があります。必ずしも心臓の病気とは限りません。病院を受診して調べてみるのを勧めます。

１）安静時でも速い脈を、”自覚する”

運動していないし興奮しているわけでもなく、普通に静かに座っているだけなのに、心臓がドキドキと「早く動いているのが分かる」なら明らかに異常です。

発熱しているわけでなく、体調が悪いわけでなく、特別に気分が悪いわけでもない場合であっても、異常な何かが体の中で起きていると想像されます。病院を受診した方がよいでしょう。

 

２）脈８０台以上続くが、”自覚はない”

上のようにドキドキの「症状を自覚している」場合と違い、全く無症状で普通に健康な日常生活を送っている方で健康に不安を感じたことがないにもかかわらず、時々脈を計ってみるといつも速い脈の人です。

脈が速いとは、安静時に一分間脈拍数が80以上あれば一応速いと考えてください。100以上なら明らかに異常です。

こんな脈拍がいつ測っても、何度測っても続いており、長い期間にわたって70台や60台にはほとんど戻らない場合です。

 

こんな人は一見健康と思っても、いくつかの病気が隠れている場合があります。以下のコラムで少し詳しくお話しします。 ◆283 「脈が１００前後、速くて気になる」これはどんな病気？　ー頻脈性不整脈？ー

 

一番高い可能性は、貧血や甲状腺機能亢進です。それ以外にも慢性の感染症、膠原病、腫瘍、さらに心臓そのものの病気や、治療で飲んでいる薬の副作用も想像できます。

病気ではありませんが、強いストレスが長く続く場合もそんな頻脈が見られます。

いずれにしてもそんな状態の人は、一度病院で脈が速い原因を調べてみる必要があるでしょう。

脈拍数８０台以上が続くなら受診を

現在、健康で身体に何も悪いところはないと思っていても、安静時に６０前後だった脈拍数が８０台以上になって戻らない状態が続く人は、病院を受診して調べることをお勧めします。症状があっても無くてもです。

病気を上手に克服して、残り人生をより健康にするには・・

けやき坂スタイル

心臓専門医の所属する２団体

１．日本心臓病学会

２．日本循環器学会