西へ発つ高速バスに向かって、大きなリュックサックを背負った若い男が東京駅から出てきた。
目線は先の方、肩に食い込む荷物が重たいのか辛そうな顔をしている。
あっと思う間もなく、向かいから歩いて来た別の男とぶつかった。
彼も携帯電話を見ていたのだ。
男は顔を少ししかめ無言ですぐ背を向けたが、若い男が彼の落としたものを拾って駆け寄ると途端に破顔した。
二人は笑顔で、反対側に歩き出した。
P. Angenieux Paris 50/1.5 S21, 1953 & Sony alpha7 RII
写真:竹田幸一、文:竹田彩子
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