はじめに来た若い二人の女は、赤いイスに腰掛けるとかん高い声でおしゃべりを始めた。
とめどなく溢れるワードは僕の頭で到底理解しきれない。
彼女たちにできたての料理が運ばれてくると、ひときわ歓声が上がりシャッターがなる。
杖をついた年輩の白髪の女性が通りかかった。
声をかけられた一人は、エクボを見せてイスから立ち上がると、ゆっくり彼女と曲がり角に消えた。
残された方は空を見上げて、音楽を聴いている。
都会の真ん中で、まだ大丈夫と思いながら、僕はコーヒーをすすった。
P. Angenieux Paris 50/1.5 S21, 1953 & Sony alpha7 RII
写真:竹田幸一、文:竹田彩子
star