院長の著書
一般向け「期外収縮の疑問と不安に答える」
ムック・タイトル 「不整脈 脈飛び、頻脈・徐脈 期外収縮・心房細動 脈正し自力克服大全」
令和2年4月21日発刊、わかさ出版発行、文響社発売、980円+税
2章:「脈が飛ぶ 期外収縮の疑問と不安にズバリ答えるQ&Aつき新事典」を私が執筆担当しました
期外収縮が発生する理由、その症状、危険な場合などについて記述
期外収縮の起こる主な原因や誘因について解説
期外収縮の症状、原因、治療法の疑問や不安のQ&Aを13問
全14ページにわたって期外収縮をかなり詳しく説明しました
けやき坂クリニック院長 竹田幸一
2020.06.10
一般向け「症状からわかる心臓病」と研究者向け「心臓の活性化理論と心不全」の二冊
以前、院長が書いた「症状」から「心臓病の病名」を調べるためのチェックリスト形式の本です。一般向けです。1995年の出版ですが既に絶版です。在庫の予備もありません。
心臓病のチェックリストとしては現在でもまだ使えそうなので、待合室受付に置いてあります。HPでも読めるように組み込み作業を始めました。
今では古くなった記載内容部分を修正する作業も同時進行しています。ついでに心臓病の患者さんの日常生活の注意事項についても全般にわたり少し詳しく加筆するつもりでいます。作業は進んでいます。
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心臓病は治療開始のタイミングがわずかに遅れただけでも,命を落としかねない病気です。症状があるのに心臓病であることに気づかず,医師の診察も受けていない方々(潜在的な心臓病患者)こそ心臓病の適切な情報が最も必要です。
心臓病があり病院で治療を受けている方が,病気について更に詳しく知りたいと思った時、読む本は様々な種類で良いものがたくさんあります。しかし,潜在的な心臓病の方々がそれらの本を読んでみても,自分の症状についての漠然とした疑問や不安は恐らく解消されないでしょう。
このような潜在的心臓病の方々のために 症状を中心として病気を説明する,予備知識がなくても読める,わかりやすいこと,実際的であること,そして短時間で読めること、このの五点に配慮して心臓病について紹介をしました。そのために心臓の仕組みと働き,個々の心臓病の知識,様々な心臓病の検査や薬剤の詳しい解説はかなり省略しました。
この本は著者が獨協医科大学循環器内科に在職中の1995年、自分の「症状」から「心臓の病名」を簡単に知ることができるためのツールとして出版したものです。幸い当時、多くの方に好評を持って受け入れられました。
その後大学を辞しクリニックを開院し、多忙さでこの本は放置しておりました。内容に追加・改訂すべき箇所も幾らかありますので、修正、加筆しようと思っています。心臓病のチェックリストとしての役割はこのままで今でも十分通用すると思います。
当院の患者さんが、そのような目的で使うために、この本をまるごとホームページに載せることにしました。これを読んでから私に相談されると病気の理解がより深まると思います。どうぞご活用ください。
けやき坂クリニック院長 竹田幸一
2014.5.26
院長の心不全に関する研究を集大成した専門書です。入手困難なので、できればネットで読みたいとお考えの方もいらっしゃるようです。全内容をこのサイトで公開するために著者が一人で作業中でしたが、誤字・脱字・改行の不揃いなどを除けば、内容的にはほぼ完成しました。長い間お待たせいたしました。忍耐があれば、最初から最後までお読みになることができます。
改行の不揃いなどを直しながら、今後も誤字・脱字を修正し、読みやすくなるようにボツボツと修正してゆきます。
販売と購入の方法:
この本は版元で絶版となっています。著者の手元にまだ少し在庫が残っています。ご希望の方は当院にお問い合わせ下さい。
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私が医師になった直後の研修医時代です。個人的な興味から、心臓収縮性や心不全をよく理解するため、丸ごとの心臓の力学的特徴を、取り出した心筋標本の力学特性や、心筋細胞内での蛋白,酵素,分子等の働きと関連づけて体系的に理解しようと考えました。そのために心臓生理学、心不全、心機能関係の本をたくさん買ってきて勉強を始めました。しかし、多くの本を読めば読むほど、ますます深い迷路に陥り、かえって混乱してしまいました。
心臓病は古くから長い研究の歴史がありますので、世界中の過去の基礎的、臨床的な研究の積み上げはものすごい量です。しかし、心臓生理学、心不全、心機能関係を解説した本はどれも基本的に、個別でバラバラな知識を並列的に記述してあるだけでした。過去の膨大な研究結果を誰も整理・統一していないので、心機能を根本的な立場から理解しようと初学者が努力しても、その複雑な迷路に入り込んで、ただただ右往左往して混乱するばかりだと悟りました。
初学者にとっては、心臓の収縮機構を統一的に理論的に分かり易く説明した本がなぜないんだろう、あれば便利で良いのにと、素朴に残念に思いました(実は、それは世界中の多くの研究者が挑戦して誰も出来なかった仕事なのでした)。仕方がないので、それなら自分の理解のために、試しに自分でそれを整理、統一する体系を作ってみようと思いたち、軽い気持ちで研究を始めました。今思えば、なんと素朴な、大胆にもと笑ってしまいます。それがまさか10年でここまでくるとは予想もしていませんでした。研究とは、始まりはそんな素朴な個人的興味がキッカケになるのかも知れません。
以来、丸ごとの心臓の機械的・エネルギー的収縮特性を、心筋細胞の分子レベルの基本的知識から一元的に理解する方法を構成するために、この研究に昼夜没頭してきました。振り返ってみればいつの間にか10年以上もかかりましたが、1995年には、ようやく自分でも納得できる心臓収縮の統一理論に繋がる原型とも言える理論を作ることが出来ました。
心筋細胞ミオシンフィラメント上で、ATPのエネルギーを消費して回転する活性化された連結橋(cycling of active cross-bridge)の機械特性が、心臓収縮の機械特性を決定するであろうというのが、当時の心臓生理学の中心概念(central dogma)でした。しかし、この概念に基づく理論で心臓収縮の機械特性を統一的に説明できたものはありません。ましてエネルギー消費論までも説明できたものは全くありませんでした。私は連結橋を活性化(activation of cross-bridge)するCa2+とトロポニンCとの化学反応特性が、心臓収縮の機械特性を決定するという仮説を立て,それに基づいて心臓収縮の新しい理論モデルを構築しました。この理論体系を「心臓の活性化理論」(activation theory of the heart)と呼ぶことにしました。
この理論は多くの心臓生理学の実験的、臨床的な現実の現象に非常にうまくマッチし、その事実を上手に理論的に説明し予測できました。とりわけその現象を誰も説明できない心臓生理学上の未解決難問であった実験結果(心筋のFenn効果や心臓のエネルギー消費動態など)を理論的に説明できたのは(解答が出せた?)、このモデルの特筆する特色だと思っています。
この本では、この「心臓の活性化理論」に関するこれまでの研究成果を、1日で読み終わる程度の分量に総括しました。現在でもなお未解明の慢性心不全治療についても、その最適な治療法について、この活性化理論から具体的な考え方を提案しました。ただし、提案したような薬理作用を示す薬はまだ現実には存在しないので、この仮説の検証はできません。将来の研究者に期待しています。
竹田幸一
2014.5.26