■症状の軽重と病気の軽重が関連しない。正しい診断が大切
この心臓病で最も重要な事は、症状の軽い重いと病気の軽い重いが必ずしも関連しない場合があることです。一見軽い症状に見えても極めて危険なもの、症状が非常に辛くて重症のように見えてもそれほどでもない不整脈といった具合です。
非常に稀ですが、症状が軽いからと甘く見ているととんでもなく突然死になる場合があるのがこの病気の恐ろしさです。
そのため、この病気ではどのタイプの不整脈なのか、早めに病名を確定することが重要なのです。病名を判断するために検査を、病名が決まったらその後の治療は担当医と相談しながら進めます。
■病名の確定(診断)
病名の確定が重要ですが症状からだけで病気を確定することは不可能です。専門医の診察を受ける必要があります。そのような症状なら、おそらく心臓の病気は頻脈性不整脈と推測されます。
ここではほんの参考程度に病名をお話しします。もしこれらの病気が疑われたなら、必ず専門医を受診して調べてください。
このグループの病気は主なものとして以下のようです。
1)発作性上室性頻拍症
2)発作性心房細動、心房細動
3)心室頻拍症(非常に少ない)
4)心室細動(極めて稀)
5)その他
■診断のため検査が必要
どの病気も患者さんに分かるほど症状に差はありません。症状からだけで病気を診断するのは困難です。治療は病気毎にかなり違いますから、最初にその病名を確定(診断)しなければなりません。
診断確定には検査が必須です。通常は胸部X線写真と心電図に加えて、ホルター心電図(24時間心電図)や心エコー検査などをしますが、これでうまく診断が確定するとは限りません。その症状があるときに心電図を記録できるかどうかにかかります。
■検査しても必ず診断がつくとは限らない!
たまにしか症状がなければ、ホルター心電図検査中でも異常な不整脈を記録・捕捉できません。証拠(不整脈が起こった時の心電図)が捉えられなければ、最後は検査所見の総合判断になります。
診断は医師の診断力に左右されます。専門医でたくさんの症例の経験ある医師が診断能力が高いと思われます。
■携帯型の心電計
どうしても証拠をとって確定診断をつけなければならない場合は、患者さんが毎日携帯できるコンパクトな心電計があります。これを患者さんが24時間毎日携帯し続けて、もし症状が起こった時に自分で心電図をメディアに記録するものです。
同時に医療機関に送信する機能付きのもあるようです。この心電計がどれだけ診断と治療に有効か使用経験がないので分かりません。
■最終検査を勧められることがある
証拠が取れなくて、医師の経験と勘で非常に重大な不整脈が疑われたら、入院して心臓カテーテル検査や電気生理学的検査などの最終検査を勧められるかもしれません。
これは侵襲的で楽な検査ではありませんので、その必要性を医師とよく相談してください。納得の上ですが、できれば医師の助言に従った方が良いと思います。
■致死的な不整脈
このグループの不整脈のなかでも、心室細動は極めて稀な病気です。しかし「起きれば即死」となる恐ろしい不整脈です。
短時間の前兆症状から突然意識を失います。しかし時には運よく短時間で意識が戻ることがあります。意識消失の時間の長さにもよりますが、意識が戻ると一見普通の様に見えることがありますので、非常に危険なこの病気が隠れてしまいます。
もしこんな病気が疑われれば、必ず心臓カテーテル検査や電気生理学的検査が必須です。
続く・・・
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