高血圧は症状がある
高血圧の患者さんが来院され当院で治療をすることになります。長年の多くの経験で分かったことは、患者さんは自覚していませんが、高血圧にはしっかりと症状があることです。上が140mmHg程度でもです。→◆239 高血圧の三大症状
初めて高血圧を治療する患者さんには、治療を開始する前に高血圧の症状を確認しておきます。治療を開始し約1週後に再診して効果を再確認します。
家庭血圧を毎日測ってノートに記入しグラフ表示にしてもらいますが、このグラフを見れば血圧が薬の治療でどのように下がってきたか一目で分かります。出された薬をただ漫然と飲み続けるだけでなく自分で薬の効果を確認できますと薬を調節する大切さがよく理解できます。
自分の血圧の性質を知る
自宅で毎日血圧を測定すると、血圧とは一定ではなくいつも様々な因子で変動している、一回測った血圧だけでは不十分である、毎日血圧の経過を見て自分の血圧の真の姿を知る、どんなことで血圧は上がりまた下がるのかを知るなどを自分自身で実感するようになります。
この作業は高血圧に一生付き合う上で大変重要な学習になりますから、当クリニックでは最初に必ずこの家庭血圧の毎日測定をお薦めし測定の仕方をお教えします。
高血圧の症状とは
薬の治療を続け血圧が目標の正常値に安定して入ってきた頃、以前あった症状について再度患者さんに確認しますと「何も症状はなく元気だ」と始めに言っていた人でも、治療前にあった以下のような症状が消えるか、かなり軽くなっていることを納得します。
そして高血圧には症状があることを発見します。正常血圧になって初めて自分には症状があったことに気付くのです。そんな症状とは、
●頭痛、頭の重い感じ、頭をハチマキで締められたような感じ
●肩こりや首筋の張り
●少しの運動や作業で疲れやすくなった、自分では歳のせいだと思っている
●朝の起床時に、まだ起きたくない、疲れ感が残っている
●体が重い。動く時や作業の時に体が重いと思う
●仕事が終わり帰宅した時、少し休まないと家事に入れない
正常血圧で「症状が消えた」
当院では症状が治療で消えることを自ら発見してもらいます。これが高血圧の症状であったとは患者さんは全く考えていませんでした。
自分はただ血圧が高いだけで何も症状がないと信じていたのです。症状が消えて初めて高血圧のためであったことを理解します。いかに高血圧が自分の体調を悪くしていたかを知り高血圧を治療して本当の健康とはこんなに快適なものだったのかと納得します。
頭痛薬が不要になる
私の経験したケースです。頭痛のため5年以上も薬局で購入したバファリン一瓶を一週間で飲んでいた患者さんがいました。高血圧の治療開始以来バッファリンは一度も飲まなくなったそうです。
治療で症状が消えることは医師の側から計画的に誘導して意識させないと漫然とした高血圧治療ではその変化に患者さんは気づかないことが多いのです。
価値を知り治療に参加する
高血圧の症状と治療後の快適さを実感しますと、患者さんは血圧を下げる意味と重要性を十分理解されます。薬を飲むことを嫌がったり、忘れたり、面倒臭がったりはしなくなります。積極的に血圧治療に参加してきます。これこそが本当の高血圧の治療であると思います。
薬を出されたから毎日ただ飲んでいるのとは根本的に違うと思います。そんな自覚する患者さんになるため高血圧は治療で症状が消えることをはっきりと知ってもらう必要があるのです。
ただし全く無症状で治療後も何も変わらない人が少数いることも事実です。このような人でも家庭血圧を記録し続けることで血圧が確実に正常化しますので治療の効果には納得されます。