食事療法で体重の減量を
健康のためには痩せることがいかに大切か、何度も繰り返してお話しし続けています。患者さんにも「耳にタコ」ほどこの説明をしていますので、当クリニックの患者さんは体重減量には強い関心を持って下さいます。そして多くの方は体重減量に積極的に取り組まれ、目標の減量に成功する方もそれほど珍しくありません。
筋肉量は減らさない!
しかし、体重減量で気を付けなければならない大切なことが幾つかあります。その一つに「筋肉は落とさないように気を付けて・・」です。食事療法で摂取カロリー制限するだけでは、確かに体重の減量は実現するのですが、脂肪だけでなく筋肉まで減量させてしまうことです。筋肉量は年齢とともに確実に落ちてきます。それに加え、急な強い食事制限では脂肪だけでなく筋肉量まで落ちてしまいますから、体全体のバランスから困ったことになってしまいます。筋肉量の減量は「痩せると力がでなくなる」、「転びやすくなる」原因ともなります。
主目的は、過剰な体脂肪の減量
減量の本当の目的は、過剰にある不要な体内脂肪の減量であって、特に高齢者では筋肉量は逆に増やして頂きたいほどです。体重減量の食事療法でのこの重要な問題を解決するには、厳格な食事療法でカロリー制限は徹底しながらも、骨や筋肉を増量するために、同時に適度な散歩などの運動とともに筋肉トレーニングも併用するのが理想です。
総摂取カロリーのバランスは、タンパク質を少し多めに
食事制限の原則は、一日の総摂取カロリーを制限し、25X目標体重Cal (例えば、25Calx50Kg=1250Cal/day)を守ることです。しかし、その内容をバランスよくするのが大切です。炭水化物は60%、タンパク質は20%、脂肪が20%の配分が標準ですが、筋肉の原料であるタンパク質は少し多めにとって下さい。良質のタンパクは肉、魚、大豆、乳製品、卵などにたくさん含まれています。体の筋肉を増やすためにタンパク質を少し多めの30%にしても良いでしょう。その分、炭水化物を55%、脂肪を15%にします。肉、魚、大豆、乳製品、卵を意識的に多めに食べるようにしましょう。ただし腎臓の機能に問題があると言われている人は少なめにしてください。タンパク質は弱い腎臓には悪い影響があります。