画像:パリ、Deux Magots、テラス席の4人は左から、Dari, Sartre, Hingga, Picasso
当院サイト訪問者の地域別構成(2015.04.12~2017.04.12)
最近2年間の当院ホームページ訪問者数(合計で約229万人)の都道府県地域別構成は以下のリストのような結果でした。ここでは2年間の集計と直近2ヶ月間の集計の2種類のリストを並べて提示しました。
リスト各行の数値は左から、A.順位、B.地域名、C.平成27年の地域住民人口(単位は万人)、D.当院ホームページの2年間総セッション数、E.「セッション数/人口万人」です。リストの順位はE.「セッション数/人口万人」の値順に並べました。
左右2種類のリストを比較すると、各都道府県は同じグループ内での上下の移動はありますが全体的な傾向に大きな変化は無いと考えました。解析と考察はサンプル数が10倍多い2年間のリストを中心に行います。
セッションとは?(セッション数=延べ訪問者数)
「セッション」とは、訪問者が当院サイトとネット上で接続関係を結んだ時から解除されるまでをいうネット用語です。この関係を訪問者がそのサイトを訪れたと考えて、便宜的に1セッションを1訪問者とカウントします。セッション数=延べ訪問者数。セッションは個人を特定していませんので延べ人数になります。
都道府県の順序付け
47都道府県を「セッション数/人口万人」の指標で3グループ、!)異常に高い値の群、2)標準的な値の群、3)低い値の群、に分けました。
A. 順位、B. 地域名、C. 平成27年の地域住民人口(単位は万人)、D. 当院ホームページの2年間総セッション数、E. セッション数/人口万人
■過去2年間 2015.04.12 ~2017.04.12
合計約229万セッション
ーーー異常に高値の7地域 (120以上 )ーーー
A___B_______C______D__________E
01.大阪 ____884 376971____ 426
02.東京 ___1351 562546____ 416
03.神奈川 ____912 287684____ 315
04.愛知 ____748 180777____ 241
05.福岡 ____510 101672____ 199
06.京都 ____261 43681____ 167
07.北海道 ____538 69901____ 129
ーーー標準的値の34地域 (70~ 120)ーーー
08.宮城 ____233 27187____ 117
09.徳島 ____ 76 8453____ 111
10.埼玉 ____726 79580____ 110
11.栃木 ____197 21683____ 110
12.千葉 ____622 66293____ 107
13.島根 ____ 69 7122____ 103
14.兵庫 ____553 55201____ 100
15.広島 ____284 28442_____ 100
16.富山 ____107 10637_____ 99
17.奈良 ____136 13249_____ 97
18.石川 ____115 10730____ 93
19.滋賀 ____141 13054_____ 93
20.静岡 ____370 33333_____ 90
21.群馬 ____197 17712_____ 90
22.香川 ____ 98 8814_____ 90
23.岡山 ____192 16643____ 87
24.三重 ____181 15341____ 85
25.茨城 ____292 24732____ 85
26.福井 ____ 79 6499____ 82
27.山口 ____140 11148____ 80
28.和歌山 ____ 96 7706____ 80
29.愛媛 ____139 10674____ 77
30.秋田 ____102 7754____ 76
31.新潟 ____230 17275____ 75
32.青森 ____131 9874____ 75
33.長野 ____210 15667____ 74
34.山形 ____112 8284____ 74
35.山梨 ____ 83 6164____ 74
36.岐阜 ____203 14867____ 73
37.福島 ____191 13919____ 73
38.沖縄 ____143 10432____ 73
39.大分 ____117 8545____ 73
40.宮崎 ____110 8052____ 73
41.高知 ____ 73 5095____ 70
ーーー低値の6地域 (70以下)ーーー
42.鹿児島 ____165 11371_____ 69
43.岩手 ____128 8573_____ 67
44.熊本 ____179 11911_____ 67
45.長崎 ____138 8991_____ 65
46.鳥取 ____ 57 3394____ 60
47.佐賀 ____ 83 4528____ 54
■直近2ヶ月間 2017.02.12 ~2017.04.12
合計約23万4千セッション
ーーー異常に高値の7地域 (13以上 )ーーー
A___B_______C______D__________E
01.大阪 ____884 39,115_____ 44.2
02.東京 ___1351 56,458_____ 41.8
03.神奈川 ___912 26,593_____ 29.1
04.愛知 _____748 17,497_____ 23.4
05.福岡 _____510 8,613_____ 16.9
06.北海道 ____538 8,865_____ 16.5
07.京都 ______261 3,597_____ 13.7
ーーー標準的値の33地域 (8~12 )ーーー
08.兵庫 ____553 6,564____ 11.9
09.埼玉 ____726 8,629____ 11.9
10.栃木 ____197 2,307____ 11.7
11.奈良 ____136 1,568____ 11.5
12.千葉 ____622 7,134____ 11.5
13.宮城 ____233 2,620____ 11.2
14.徳島 ____ 76 831____ 10.9
15.滋賀 ____141 1,531____ 10.9
16.香川 ____ 98 1,028____ 10.5
17.三重 ____181 1,811____ 10.0
18.石川 ____115 1,141_____ 9.9
19.愛媛 ____139 1,380_____ 9.9
20.山梨 ____ 83 797_____ 9.6
21.群馬 ____197 1,889_____ 9.6
22.岡山 ____192 1,850_____ 9.6
23.静岡 ____370 3,518_____ 9.5
24.茨城 ____292 2,766_____ 9.5
25.山口 ____140 1,313_____ 9.3
26.新潟 ____230 2,125_____ 9.3
27.富山 ____107 974_____ 9.1
28.和歌山 ____ 96 870_____ 9.0
29.高知 ____ 73 654_____ 9.0
30.広島 ____284 2,526_____ 8.9
31.岐阜 ____203 1,801_____ 8.9
32.長野 ____210 1,820_____ 8.7
33.青森 ____131 1,105_____ 8.5
34.秋田 ____102 858_____ 8.4
35.福島 ____191 1,607_____ 8.4
36.沖縄 ____143 1,205_____ 8.4
37.福井 ____ 79 653_____ 8.2
38.宮崎 ____110 905_____ 8.2
39.山形 ____112 918_____ 8.2
40.島根 ____ 69 561_____ 8.1
ーーー低値の7地域 (8以下 )ーーー
41.鹿児島 ____165 1,300_____ 7.9
42.大分 ____117 908_____ 7.8
43.岩手 ____128 998_____ 7.8
44.佐賀 ____ 83 613_____ 7.4
45.熊本 ____179 1,321_____ 7.4
46.長崎 ____138 1,011_____ 7.3
47.鳥取 ____ 57 412_____ 7.2
人口一万人当りのセッション数(セッション数/万人=地域の訪問率)
セッション数だけなら、上位5地域合計は全体の65.8%、上位10地域までなら79.5%を占めます。全セッション数を平成27年総人口12,709万人で平均すると、人口一万人当りの訪問者数(セッション数/万人)は180.2になります。上位6地域があまりに高いので全国平均値を引き上げていますが、日本の他のほとんどの地域は70台から100台にありますから、実質的な平均は中間24位当りの85前後だと考えます。
訪問者は、携帯を使う35歳以上の中高年で、大都市に集中し、目的は心臓病コラム記事
当院のコラム記事は多くが心臓病関連でそれ以外に高血圧、おなかの話題やお菓子の話題などもあります。しかし訪問者の関心の中心は心臓病関係のコラム記事にあるようです。訪問者が読む当院コラムの75%くらいは心臓病関係と思われます。
調査対象期間で全訪問者の年齢構成は、40歳前後は29%,30歳前後は25.4%,50歳前後は17.1%,20歳前後は14.4%,60歳前後は9.1%、65歳以上は5%であり、40歳前後(35歳~45歳)以上の中高年者が60%になります。また使用した機器ではモバイル端末が73.2%であったと推測されています。
以上から、主に携帯を使う中高年の当院ホームページ訪問者の分布は、心臓病関係のコラムを読みたい人の地域分布の特徴を表していると想像します。その前提に立てば、心臓病に強い関心を持つ中高年の人々は、圧倒的多数が5大都市とその周辺に集中している様子がうかがえます。単純な人口比の地域バラツキでないのは明らかです。
各地域のセッション数をその地域の一万人単位の人口で割り算すれば(セッション数/万人)、その地域一万人当りで何人が心臓病に関心が高いのかの目安となるでしょう。
地域毎の人口の年齢構成、モバイル端末の普及率、端末の使用頻度等で補正していませんので、セッション数/万人の数字比較はあくまで大雑把な目安でしかありません。しかし、人口の年齢構成、モバイル端末の普及率、端末の使用頻度も、地域差が2倍あるとは思えませんので、これらで補正したとしても、セッション数/万人の最高値と最低値の落差が半分にまでは縮小しないだろうと予想します。
地域別の訪問率は、大阪と東京が、圧倒的に高値!
2年間の集計と直近2ヶ月間の2種類のリストを提示しました。傾向に差は無いと考え解析と考察は2年間のリストを中心に行います。
各地域毎にセッション数/万人(当院サイト訪問率)を詳細に見ますと、大阪府が426、東京都が416であり、その他地域から群を抜いて高い値です。神奈川 315、愛知 241とここの異常な高値も際立ちます。福岡、京都、北海道が二番手の高い値(100<<200)を示します。
三番手以下は標準的グループですが、中でも比較的高値(>100)のグループは、宮城、徳島、埼玉、栃木、千葉、島根、兵庫、広島と大都会周辺や地方中核都市が並びます。
しかし徳島、島根がこの上位にいる理由は分かりません。島根は直近2ヶ月間の調査では40位とむしろ低値グループにありました。たまたまこの2ヶ月はセッションが少なかっただけと想像します。2ヶ月間でサンプル数が561と少ないので順位変動が大きいかも知れません。栃木は当院の地元であり別の因子が影響したためと想像します。
検索の目的は、自分自身の「心臓病の不安」?
訪問者が心臓病に関心が高いのは、自分自身が心臓病なのではないかと思う不安が理由であると想像します。「自分は心臓病か?」と不安に感じてもこのサイトに来るとは限りませんが、心臓病に全く関心がない人で当院サイトを訪れる人は相当に少ないでしょう。
家族や知人の心臓病が心配なケースもあるでしょうが、自分自身に心臓病の不安があれば、まず「スマホでグーグル(ヤフー)を調べてみよう」と考えすぐに検索するのは現代社会なら中高年でも全く普通の行動です。
やはり「中高年が、ある症状があって不安がある。自分の心臓病をチェックするため、携帯で検索して当院サイトを訪問した」のが最も可能性の高いストーリーだと想像します。
「心臓病の不安」が、異常に高い大都市の中高年
個人の健康、特に自分の心臓の病気に対する関心の高さの差が大都会でこれだけ大きく違う原因は何でしょうか。大都会や都市部の住民は地方の住民に較べてストレスが多いのは間違いないでしょう。しかしこれほどまでの大きな差でしょうか?
この大き過ぎる異常な差には、都会の方が携帯ですぐに検索して調べるという生活スタイルが完全に定着しているからと想像できます。また都会人の方が何度も繰り返し詳しく検索する可能性もあります。
しかしそうだとしても、それは都会人の生活スタイルの違いではなく、都会人は心臓病をそれだけ強く切実に不安に思っているからだと想像することも可能です。
確かに心臓病の発症率がストレスの多さと密接に関係しているのは過去の研究でも明らかです。また軽い心臓病の不整脈症状はストレスでしばしば容易に誘発されますし、まだ治療が必要な程ではない心臓の異常でもその症状の出現は強いストレスと密接に関係しているでしょう。しかし心臓病の有病率が大都会でこれほど高いはずはありません。
大都市の中高年は、心臓病に潜在的恐怖心がある?
本当は心臓病ではない症状までも「心臓病か?」と疑って調べていることも十分想像されます。そうだとすれば都会人はやはり心臓病に相当敏感となっており、体に何かの異常があればいつも「これは心臓病か?」と調べるのかも知れません。
大都会の中高年は地方在住者と較べ自分の心臓病にそれだけ敏感な不安を抱えながら生活しているのでしょう。心臓病に対する関心が非常に高いのが大都会中高年の一つの特徴なのでしょうか。
その理由は大都市生活では、様々な場面で健康を損なう機会が数多くあることです。そしてそれは簡単に避けることが出来ない事であったりします。とりわけ運動不足、過食・美食、肥満・メタボ、喫煙、過量の飲酒、睡眠不足、過労、強い仕事のストレスなどで心臓を直撃される恐ろしさをいつも肌身で感じているからだと想像します。
このような事情の大都会の中高年は、心臓病を中心とする病気に対して強い恐怖心や恐れを持って毎日生活している姿が想像されます。もし胸に何かの異常を感じればすぐにそれは心臓病ではないかと想像してしまうのでしょうか。そしてその日のうちにスマホで症状から心臓病の検索をして病気を確認するのでしょうか。病気、特に心臓病への過敏過ぎる程の恐れをいつも抱えている中高年の精神的に不安な生活が透けて見えます。
もし出来ればこんなストレスのない健康的な生活が出来る社会で暮らしたいと内心密かに思っているかも知れません。その敏感過ぎるほどの強い「心臓病不安」が、すでに心臓への強いストレスとなるほどだと思います。
大都市では、1).社会の強いストレス→2).心臓病の症状誘発→3).心臓病不安→1).更にストレスの亢進、の悪循環に陥って、このような「心臓病不安」よりも「心臓病恐怖!」と言えるほどまで加速しているのかも知れません。
セッション数/万人は、地域毎の「病気不安」や「心臓病不安」を映す鏡か?
政府が発表する心臓病で死亡した人数の地域別順位は今回の順位とは全く無関係に見えます。また極端な大都会偏在のこの結果は、地域別の心臓病患者数や有病率とも恐らく関係ないと思います。地域のセッション数/万人(当院サイト訪問率)はこれまで知られている保健行政の指標とは特異な違いを見せています。
まだ明確に心臓病とは言えないが(病院で診察も受けていない、まだ診断が確定していない、まだ治療はしていない等を含む)、生活の中で自分が心臓病ではないかと疑っている人(「潜在的な心臓病患者=隠れ心臓病」と「心臓病不安」)がストレスの多い大都会や地方中核都市に多いであろうことは十分に予想されます。
外からは窺い知れないが、その病気への強い不安を持つ「隠れ心臓病」や「心臓病不安」の実像が、当院訪問者の非常に偏った地域差の結果に反映されたのだろうかと想像します。
中高年の「隠れ心臓病」や「心臓病不安」の人々が、どの地域に?どれだけいるか?年齢は?性別は?仕事は?等その一切が不明です。それを定量的に解析評価する手法として、ここで用いた当院サイトの「セッション数/万人」指標は有用かも知れません。
病気不安のストレスが少ない「精神的に健康な町」は、九州か?
この論点を逆の視点で言えば、「セッション数/人口万人」の値が少ない地域ほど「心臓病不安」や「病気不安」が少ない低ストレス社会であると予想されます。
鹿児島、岩手、熊本、長崎、鳥取、佐賀は、70以下の極めて低い値を示しています。住民が心臓病にあまり関心がないのは、この地域ではそれだけ健康不安のストレスが少なく平穏な社会であることを想像させます。「セッション数/人口万人」指標が「心臓病不安」や「病気不安」を表すなら、この地域はそれが大阪、東京の1/6~1/7しかない程度の平穏さです。
今回は都道府県単位で分析しましたが、もっと細分化した地域単位でも分析が可能ですから、機会があれば全国どの市や町が「隠れ心臓病」や「心臓病不安」が少ないか(病気不安ストレスが少なく住民が平穏に生活している町はどこか?)、解析することが出来るかも知れません。