便潜血検査って?
まず便潜血検査とは、最も簡単に大腸の病変をスクリーニングする最初の検査になります。便を提出して、目には見えないごくわずかな量であっても血が混じっているかどうかを確認します。もし便の中に血が混じっていたとしたら、それは便が作られて排泄されるまでのどこかで出血していることになります。
排便する際に便が硬かったり、いきんだり、もちろん痔があったりすると、お尻の粘膜が切れて出血したものが便の中に混じる可能性があります。ですから必ずしも便潜血検査で陽性が出たとしても、それでいきなり大腸癌や腸の粘膜に血が出るような炎症があると決まったわけではありません。
ただし、健診で便潜血検査陽性になって大腸カメラを受けることになった方の中に本当に癌が発見される場合があります。ですから、毎年大腸カメラを受けていない人にとっては便潜血検査は大切な検査と言えるでしょう。
直腸診とは。
その名の通り、お尻に指を入れて肛門、直腸(肛門のすぐ上にある腸の部分)に病変がないかと、男性ならは前立腺も確認することのできる検査です。外から確認できる肛門部以外は目で見えるわけではないので、指の感触によって判断します。
直接目で見て判断できる大腸カメラと比べると、正確性や精密性に劣ります。腸の中でも肛門のすぐ上のほんの一部の直腸しか触れることができないため、この検査で大腸全てにに病変がないと安心できるわけではありません。太っていたり体の大きい方の場合はお尻の脂肪が多く肛門から挿入して腸の粘膜に届きにくいので、この検査で病変がわからないことがあります。
逆にすでに直腸や前立腺に病変が診断されている場合には、治療のためにその位置や方向、大きさを直接確かめるのに非常に有益な検査となります。
大腸カメラは痛いの?
大腸カメラは、肛門から大腸(直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸)の一番奥の最終地点行き止まりまでの全ての腸を目視で確認できる検査です。上記二つの検査と比べると、腸の病変を見つけるのに格段に精密な検査になります。腸粘膜をしっかり目で見ることができるので、正確に大腸全域に問題がないかを確認することができます。
緊急時以外はこの検査を受けるためにまず腸の中から便を全て出しておかないといけません。そうしないと便のせいで大腸の粘膜を隅から隅までしっかり見ることができませんので、検査前に下剤をたくさん飲んで何度もトイレに行っていただくなど、患者さんにとっては時間もかかるし胃カメラに比べると前処置が少し大変な検査になります。またお尻から内視鏡の管が入っていくわけですから、精神的にも口からと比べて慣れないと恥ずかしいと思ったりなんだかやりたくないなあと思う方も多いでしょう。
しかし腸の曲がりがきつかったりお腹の手術を受けていて腸管に癒着があったりなど、大腸カメラを行う上で難しい腸の状況がない限りは、実は検査自体は胃カメラよりもずっと楽に検査できるのが大腸カメラなのです。胃カメラの場合喉元から内視鏡の管が入っていくので、喉の麻酔はしていても若干の苦しい感じがあるでしょう。
しかし大腸カメラの場合は、腸のコンディションが良ければ、無痛で検査を終えることが可能です。
腸の中に空気をたくさん入れて腸粘膜を広げて観察しますので、下腹部が張った感じがするのと異物感が多少ありますが、痛みとは違います。そう考えると、胃カメラで内視鏡検査に苦手意識がある人も、大腸カメラを受けてみると内視鏡に対する意識が変わるかもしれません。
問題は便がしっかり排泄されて腸管内が綺麗になっているかどうかで、これは検査を行う上で非常に大事なことです。せっかく何時間もかけて下剤を飲んだり何度もトイレに行って検査をしても、便が残っていてよく見えませんでしたという結果では、とても残念です。ですからできるだけ検査の数日前から特に日頃便秘気味の人はお腹の調子を整えておく必要があります。
数日前から食事は消化の良いものを食べ、野菜や根菜きのこや海藻類、種の入ったものはなるべく避けます。便秘がひどい人は下剤をしっかり使って前日までには腸の中から便を出しておくと、当日のトイレが随分楽になりますし、検査でもしっかり腸の粘膜を見ることができます。
まとめ
腸の検査の中ではもちろん大腸カメラが最も精密な検査ですので、大腸カメラを選択した方が良いでしょう。特に40歳近くまで今まで一度もやったことのない方は大腸の病気が潜んでいる可能性がありますので、まず一度は大腸カメラをすることをおすすめいたします。またご両親や血縁に大腸癌の家族がいるならば、ぜひ行うのが良いでしょう。