生涯の健康には努力が必要
生涯の健康を期待するならそれなりの努力が必要です。何も努力せず偶然にそのような幸運を期待しても実現の可能性は高くないと思います。稀にそのような幸運な遺伝子を持っている人がいますが、ほとんどは幸運を期待できません。
ではどのような努力をすれば生涯の健康を実現できるのでしょうか。その具体的な道筋を私たちの経験をもとに公開しました。そこをお読みください「けやき坂スタイル」。
努力は正しいか検証が必要
お話しした生活スタイルを実行している人であっても、毎日の生活が最終ゴールに向かって正しいコースで進行しているのかどうかはなかなか分からないと思います。暗闇の中で歩くようなものです。
時々正しい方向に向かっているのかどうか検証して確認しければなりません。その検証は定期的な診察と検査です。努力を正しく進めるためには、間違いない最終目標と定期的な検証の二つが必要です。
検証は診察と検査、目標は20歳の正常値
医療機関で受ける診察と検査はさまざまですが、この検証としては診察、血圧、脈拍、体重、血液・尿検査が基本です。これを2~3ゕ月毎に受けると良いと思います。
診察は出来るだけ毎月受けて現状を医師と相談します。得られた検査結果から自分の生活スタイル改善努力の適否を判断します。
もし検査結果が改善しなければ、なぜ改善しなかったかを医師とよく話し合って問題点を見つけます。次回までその問題点を中心に生活を変更し次回の結果で再び評価を繰り返します。
このように2~3ゕ月毎の定期的チェックを受けながら検査結果から自分の努力の適否を確認し長期的な最終ゴールに進んでいきます。
最終ゴールは20歳の正常値です(◆医学データは、健康な20歳が目標)。最低でも、適正BMI、至適血圧、正常脈拍数、血液・尿検査の全項目正常化です。ここを最終ゴールに設定して長期目標で進んでいくのがけやき坂スタイルです。その最終目標はあたかも夜空の北斗星のように生活改善努力という長い航海を正しく導くでしょう。
検査は2~3ゕ月毎に
診察は毎月でも定期検査を2~3ゕ月毎に設定するのは私たちの経験からのお勧めです。検査を半年や一年毎では長すぎて、どのような生活が良かったのか(または悪かったのか)を検討する際に記憶が薄れて問題点を明確にできないからです。
検査間隔が1ゕ月なら問題点を明確にしやすく理想的ですが、現代の多忙な生活で毎月の検査はあまり現実的ではありません。従ってその中間の2~3ゕ月毎が妥当な間隔だと思います。
検査で成果を検証する
2~3ゕ月後ならまだ生活の記憶が残っている期間です。どこに問題点があったか明確にできます。
たとえば、その頃はケーキを食べる機会が多かったからコレステロールが上昇した、野菜を多く食べるようになっていたのでカリウムの値が高く出た、アルコールを飲む機会が多かったから肝臓のγ-GTPが悪化した、仕事に多忙でいつもの運動がほとんど出来なかったから体重が2キロ増え中性脂肪が上がった、朝の食事でアジの干物を毎日食べ続けたから尿酸値が上昇した、そばを打って手作りそばを作ったのでCPKが上昇した、仕事の追い込み時期で睡眠時間が少なくて朝の血圧が上がった等です。
検査結果の変化と日常生活を比較検証し、その問題点と原因を明らかにしていきます。
問題点を絞り再び努力を
こんな事を定期的に周期的に繰り返しながら自分の健康に関する日常生活上の問題点を絞っていきます。それを次々と改善しながら長期間かけて全項目が正常化するように目指します。数年後には治療の開始時と違い異常値がほとんどなくなった綺麗な美しいデータに到達できるでしょう。
しかし内服薬を一切使わず生活習慣の改善だけでそんな綺麗なデータになるのはかなり難しいと思います。目標達成のためには同時に医薬品のパワーも借りる必要があります。どんな薬を何時どれだけ内服するか主治医と相談しながらデータ改善に向けて進めます。
Plan-Do-See
以上お話しした生活習慣改善の進め方の基本はビジネスの世界で使われるPlan-Do-Seeの手法と同じです。
最初に現在の問題点を把握し治療の方向を決めます(Plan)。その方向に従って薬を内服し日常生活を改善しながら(Do)、2~3ゕ月後に成果を診察と検査によって評価します(See)。そして新たな問題点を明確化して次のサイクルの目標を設定します(next Plan)。これを繰り返しながら最終目標に向かって進み続けます。
Plan-Do-Seeで良い循環が
この様な繰り返しを長期間根気よく続けて行けばほとんどの人は理想的な状態とはいいませんが、相当程度までの良いレベルに到達するでしょう。当クリニックではそのような患者さんが多数通院しています。
この手法である程度成果が表れますと患者はデータ改善の成果に嬉しくなります。また自分の体調も確実に良くなっていますから更に意欲的に生活改善に取り組みます。その結果、良い循環に入り次々と良い方向に変化します。
データの改善に伴って自分の体調も改善するのを実感しますから、本人は努力を加速します。2~3年間の努力でかなりの成果が得られるでしょう。
良い循環で人生観まで変わる
その様な成果が得られれば、健康にも体力にも自信と希望が出てくるようです。診察時の表情が明るくなっていきます。人生に意欲が出て前向きの気持ちになるのでしょう。
良い循環に入ったため仕事や私生活でも良いことが多くなるようです。暗く悲観的だった人生観が明るい方に変わるなども起こるようです。「健全な肉体にこそ健全な魂が宿る」という言葉がありますが、健康となって病気の不安から解放され明るい心への変化が起こるのでしょう。
健康な肉体と明るい心に
現在健康ではなくても病気の程度がそれほど重くなければ、現状の問題点を把握し、改善の目標を立て、順序良く、正しい方向に努力し、妥当な期間で成果を検証しながら、自己改善努力を続けることで、より良い肉体とより明るい心の状態に変化することは可能だと思います。