初めて狭心症になり治療する人です。病気の重さも普通程度を例にしてお話しします。
検査での証拠はなくても「狭心症は疑わしきは治療開始」が当院の原則です。初発の狭心症を治療しなかった場合は一ヶ月以内に心筋梗塞となるリスクがあるからです。
狭心症は薬を開始すればすぐ効果があるでしょう。治療のため日常生活にも十分配慮しながら発作がなくなるまで短期間で再診を繰り返し薬の量と種類を調整します。
発作がなくなれば大きなヤマは越えました。以後は安定した管理となりいずれ正確な診断がつくでしょう。
心配な時は医師に相談ください。
◆222 心臓病 症状から自己診断は、リスクあり危険
初めての診察
重くない初の狭心症
今日は皆さんに最も関心の高い狭心症、この病気の初期治療について要点を絞ってお話ししようと思います。
狭心症と言ってもピンからキリです。全部をお話しするとかえって分かり難くくなりますので、本日のテーマは「初めての狭心症」に限定し病気の重さも普通程度の患者を例にします。
この条件が当院のようなクリニックを最初に訪れる患者さんで最もありふれたケースと思われます。規模の違う病院ではまた違ったケースになるでしょう。
まず狭心症を重症度で分類しておきます。当院を受診した段階での状況は、
1)明らかな検査上の異常所見の証拠はないが、狭心症の治療開始を勧める
2)明らかな検査上の異常所見や証拠があり、狭心症の治療を開始する
3)明らかな検査上の異常所見や証拠があり、厳重な治療管理が必要
4)緊急の状態で、直ちに大病院で緊急治療を開始する
今日のお話しは1)と2)の患者を対象にします。「明らかな検査上の証拠」とは診察時に狭心症の胸等の症状があり心電図に明確な異常所見がありニトログリセリンを投与すると症状と心電図の改善が得られるようなケースです。
いいかえれば狭心症の発作(胸が痛いなどの症状)がある時に病院に駆け込んできて狭心症の心電図所見もそろった人です。しかしこのように運のいい人はそういません。
当院を訪れる多数の患者さんは狭心症のような症状は過去にはあったが、受診日の時には既に治って何も症状がない人です。こんな患者の心電図をとっても普通は異常所見がほとんど見つからなく検査で証拠を発見とはなりません。
私たちのクリニックで初めて来院する狭心症の患者とは1)のタイプが多数でたまに発作中の2)のタイプがあるというのが一般的です。当院では3)と4)は滅多にありません。今日は当院で最も数が多い1)のケースを中心にお話しします。
この条件が当院のようなクリニックを最初に訪れる患者さんで最もありふれたケースと思われます。規模の違う病院ではまた違ったケースになるでしょう。
まず狭心症を重症度で分類しておきます。当院を受診した段階での状況は、
1)明らかな検査上の異常所見の証拠はないが、狭心症の治療開始を勧める
2)明らかな検査上の異常所見や証拠があり、狭心症の治療を開始する
3)明らかな検査上の異常所見や証拠があり、厳重な治療管理が必要
4)緊急の状態で、直ちに大病院で緊急治療を開始する
今日のお話しは1)と2)の患者を対象にします。「明らかな検査上の証拠」とは診察時に狭心症の胸等の症状があり心電図に明確な異常所見がありニトログリセリンを投与すると症状と心電図の改善が得られるようなケースです。
いいかえれば狭心症の発作(胸が痛いなどの症状)がある時に病院に駆け込んできて狭心症の心電図所見もそろった人です。しかしこのように運のいい人はそういません。
当院を訪れる多数の患者さんは狭心症のような症状は過去にはあったが、受診日の時には既に治って何も症状がない人です。こんな患者の心電図をとっても普通は異常所見がほとんど見つからなく検査で証拠を発見とはなりません。
私たちのクリニックで初めて来院する狭心症の患者とは1)のタイプが多数でたまに発作中の2)のタイプがあるというのが一般的です。当院では3)と4)は滅多にありません。今日は当院で最も数が多い1)のケースを中心にお話しします。
1)明らかな検査上の異常所見の証拠はないが、狭心症の治療開始を勧める
2)明らかな検査上の異常所見や証拠があり、狭心症の治療を開始する
3)明らかな検査上の異常所見や証拠があり、厳重な治療管理が必要
4)緊急の状態で、直ちに大病院で緊急治療を開始する
いいかえれば狭心症の発作(胸が痛いなどの症状)がある時に病院に駆け込んできて狭心症の心電図所見もそろった人です。しかしこのように運のいい人はそういません。
当院を訪れる多数の患者さんは狭心症のような症状は過去にはあったが、受診日の時には既に治って何も症状がない人です。こんな患者の心電図をとっても普通は異常所見がほとんど見つからなく検査で証拠を発見とはなりません。
私たちのクリニックで初めて来院する狭心症の患者とは1)のタイプが多数でたまに発作中の2)のタイプがあるというのが一般的です。当院では3)と4)は滅多にありません。今日は当院で最も数が多い1)のケースを中心にお話しします。
私たちのクリニックで初めて来院する狭心症の患者とは1)のタイプが多数でたまに発作中の2)のタイプがあるというのが一般的です。当院では3)と4)は滅多にありません。今日は当院で最も数が多い1)のケースを中心にお話しします。
初診日:診察の手順
以前にもお話ししたように、ベテラン専門医は患者の話しを詳しく聞き一通りの診察をした段階でほぼ狭心症らしいからしくないかの見当がつきます。しかし診察だけの段階ではまだ結論はだせません。それから心電図、胸部レントゲン写真、血液検査、尿検査、(場合によっては心エコー検査)などをしてもらいます。待っている間に検査結果がそろってその日の最終判断を話します。
狭心症の診断には心電図所見が最も重要ですが、現在症状がない患者の多くは異常所見は少なく、あまり診断に役立ちません。微妙な所見がある場合もありますがそれで確定できるほどではありません。
そんな時、最も重要なのは症状の起こり方とその推移です。その時の胸痛以外の状況、全身状態、血圧、脈、体温、呼吸数、年齢、性別、体格、これまでの生活習慣、家族歴、過去の血圧・コレステロール値・血糖値・尿酸値などをすべて勘案して、総合判断で狭心症らしさを診断します。心電図所見だけが頼りというわけではありません。
そんな時、最も重要なのは症状の起こり方とその推移です。その時の胸痛以外の状況、全身状態、血圧、脈、体温、呼吸数、年齢、性別、体格、これまでの生活習慣、家族歴、過去の血圧・コレステロール値・血糖値・尿酸値などをすべて勘案して、総合判断で狭心症らしさを診断します。心電図所見だけが頼りというわけではありません。
治療の利益と不利益
「疑わしきは治療開始」
私の診察で印象として狭心症らしさが半分以上なら、その日から薬の治療開始をお勧めすることにしています。なぜならもし狭心症なら、証拠がないからと治療開始せずに追加検査を予約するだけや少し様子を見ましょうと帰宅させた場合、数日後にもっと大きな狭心症発作が起こったり、場合によっては心筋梗塞に発展するリスクがあるからです。
その日から薬の治療を初めて、もしその後の詳しい検査や経過から狭心症が否定されれば、安心して狭心症の薬を終了すればよいのです。そんな時には「自分は狭心症でなくてよかった」と思ってください。
狭心症で未治療。狭心症でないのに治療。不利益は?
狭心症でないのに薬を飲んでも大きな不利益はあまりありません。内服した薬のために体に悪影響が残る様なことはありません。無駄になった時間、治療費、薬を毎日飲んだ面倒さがあったことです。
本物の狭心症なのに無治療で放置した時の健康被害に較べれば、健康と安全のためのこの程度の「保険」は無視しうる程度の「損失」といってよいと私は思います。
もし狭心症を無治療なら、病気が進行するのを放置すること、最悪では心筋梗塞へ進展し時には命を失う可能性もあります。狭心症と心筋梗塞では病気の重さが大きく違います。
私自身なら、専門医が狭心症を疑っているのにまだ証拠がそろわないから治療しないという危険なリスクは取りたくありません。当院の経験では、疑いで治療開始したが実際には狭心症ではなかったケースは、確定してませんが少数であったと推測します。
しかしこの治療開始の決定はあくまで患者の意志によりますから、実際には以上のお話をして利害得失を勘案し患者が納得したうえで治療を始めます。
私が勧めて治療しなかった人は一人だけでしたが、その人は中年女性で恐らく微小血管狭心症だったのが幸いして重大な状態には発展しませんでした。しかしこの患者も一年後に治療開始を希望され現在は狭心症の治療をしています。年に数回の発作でしたが、治療後は発作の回数も激減したようです。
もし狭心症を無治療なら、病気が進行するのを放置すること、最悪では心筋梗塞へ進展し時には命を失う可能性もあります。狭心症と心筋梗塞では病気の重さが大きく違います。
私自身なら、専門医が狭心症を疑っているのにまだ証拠がそろわないから治療しないという危険なリスクは取りたくありません。当院の経験では、疑いで治療開始したが実際には狭心症ではなかったケースは、確定してませんが少数であったと推測します。
しかしこの治療開始の決定はあくまで患者の意志によりますから、実際には以上のお話をして利害得失を勘案し患者が納得したうえで治療を始めます。
私が勧めて治療しなかった人は一人だけでしたが、その人は中年女性で恐らく微小血管狭心症だったのが幸いして重大な状態には発展しませんでした。しかしこの患者も一年後に治療開始を希望され現在は狭心症の治療をしています。年に数回の発作でしたが、治療後は発作の回数も激減したようです。
しかしこの治療開始の決定はあくまで患者の意志によりますから、実際には以上のお話をして利害得失を勘案し患者が納得したうえで治療を始めます。
私が勧めて治療しなかった人は一人だけでしたが、その人は中年女性で恐らく微小血管狭心症だったのが幸いして重大な状態には発展しませんでした。しかしこの患者も一年後に治療開始を希望され現在は狭心症の治療をしています。年に数回の発作でしたが、治療後は発作の回数も激減したようです。
緊急カテーテル検査
緊急の心臓カテーテル検査
初診の段階で直ちに大きな病院に紹介し、すぐに心臓カテーテル検査をし狭心症の診断を確定させる選択肢もあります。しかし当院を訪れる大多数の患者さんで(1)と(2)のタイプでは、すぐに心臓カテーテル検査をする緊急性は乏しいと思います。また患者自身もその検査をするのを躊躇します。症状が軽いからです。
狭心症が重症で直ちに心臓カテーテル検査を強く勧めなければならない患者がいない訳ではありませんが、そんな緊急性のある人は当院では極く稀です。20数年間で数えるほどでした。しかし大病院や専門病院では状況は違うでしょう。
当日から内服治療を開始し、日常生活の生活指導も詳しく説明し、一か月くらいかけながら、いろんな治療や検査を重ねて診断できる程度の時間的余裕はあるものです。その一か月程度の治療の間に心筋梗塞に進展した人はこれまでいません。ただ私の知らないところでそうなった人がいた可能性は否定できません。
当日から内服治療を開始し、日常生活の生活指導も詳しく説明し、一か月くらいかけながら、いろんな治療や検査を重ねて診断できる程度の時間的余裕はあるものです。その一か月程度の治療の間に心筋梗塞に進展した人はこれまでいません。ただ私の知らないところでそうなった人がいた可能性は否定できません。
狭心症発作が消えれば、まずは一段落
内服治療を開始して以後、狭心症発作が起こる回数、頻度、強さの変化を詳しく観察します。内服薬を開始するとすぐに効果が表れ頻度、回数、強さのすべてが軽くなるのが普通です。出来るだけ早く発作がゼロになるように薬の量と種類を調整していきます。発作が一旦ゼロになるまで短期間の再診間隔で薬を調整します。
発作が起こらなくなってしばらくしたら一安心です。今回の治療のヤマは越えました。それからは安定した管理となり余裕を持って様々な検査や治療を開始できます。いずれ正確な診断に至るでしょう。もし心臓カテーテル検査等を希望するなら、この段階でも遅くはないと思います。
治療的診断について
頓服のニトロペン。使い方と診断的治療
狭心症の治療薬はいろいろあります。病態によってもその選択は大きく変わりますから、詳しい内服薬の使い方は話しません。しかしニトロペン(ニトログリセリン等)は全員に必ずお渡しすることになります。頓服のこの薬は毎日定期的に内服するのではなく、次に起こった狭心症発作の時だけ使う薬です。 ◆148 狭心症と心不全の発作治療薬 ニトロの使い方
発作の時はこの薬を一錠取り出してベロ(舌)の下に置いて舌でその薬を溶かします。ピリピリします。溶けるとそこから吸収されて心臓に達して効果を発揮します。効果発現まで数分しかかかりません。狭心症なら普通すぐに症状が改善し患者は「この薬は効いたァー」と嬉しく感じるでしょう。
この薬は狭心症発作でなければ効きませんから、もしこの薬で胸の症状に効果がなければ、その症状は狭心症ではないといってもよいくらいです(ニトロが効かない狭心症もありますから絶対的目安ではありません)。これを診断的治療と言います。
薬が効くか効かないかで病気を診断するのです。狭心症の診断ではよく使われる実用的な診断法です。狭心症の診断的治療法についてここで詳しくお話ししました。 ◆163 狭心症 カテーテル検査なしでも、診断・治療できますか?ー診断的治療法ー
この薬は狭心症発作でなければ効きませんから、もしこの薬で胸の症状に効果がなければ、その症状は狭心症ではないといってもよいくらいです(ニトロが効かない狭心症もありますから絶対的目安ではありません)。これを診断的治療と言います。
薬が効くか効かないかで病気を診断するのです。狭心症の診断ではよく使われる実用的な診断法です。狭心症の診断的治療法についてここで詳しくお話ししました。 ◆163 狭心症 カテーテル検査なしでも、診断・治療できますか?ー診断的治療法ー
そして・・、狭心症なら?
狭心症・心筋梗塞の五部作
胸痛を専門医が診断する手順:
◆062 胸が痛いのは心臓病? ーその診断方法ー
狭心症を早期発見する:
◆290 狭心症・心筋梗塞 超早期の発見は、静かな症状に注目!
発作から病気の重さを予想する:
◆349 狭心症・心筋梗塞 発作からわかる、緊急性と重症度
狭心症になり初めて診察:
◆130 狭心症の治療開始 初めての診察の風景
狭心症を、薬と生活で治す:
◆257 狭心症・心筋梗塞 食事・運動・薬でなおす
心臓病の究極予防:
◆369 心臓を健康にする ー心臓病・心不全の超予防ー