けやき坂クリニック
特集シリーズ
心房細動の発見・治療・予防を特集します
心房細動は数が増加している危険な病気です
「無症状の心房細動」 悲劇にしないために!
心房細動は最近の高齢化によって患者さんが増加している病気で、心臓病の中ではありふれた病気の一つになっています。しかし甘く見ると非常に危険な病気です。
十分に管理すればそれほど怖い心臓病ではありませんが、放置すれば重症な脳卒中(脳塞栓)を起こして直ちに危篤状態になったり、回復しても後遺症で車イス生活になることがあります。発症から数年の経過で心不全を繰り返して重症心不全に進んでしまうこともある心臓病の中では数も多く重要な病気です。
70歳代以後には患者数が急増します。しかし40歳代で発症する方もいます。50歳代になったら心房細動は忘れてはならない心臓病の一つでしょう。
危険な「無症状の心房細動」を、自分で発見する方法
無症状の心房細動は、将来怖ろしい結果を招くことが分かっていても、簡単で確実な初期の発見方法がない厄介な病気です。
病院へ定期的通院をしてないなら、年に一度のドックや検診を受けても一時的にしか起こらない心房細動が偶然に見つかることはむしろ幸運なことで見つからないのが普通です。しかし定期的に病院に通院中の患者さんなら、医師の診察時に偶然発見されることはあるかも知れません。
家庭血圧を毎日測り続けるなら、無症状の心房細動を見つけるチャンスは大きく増えます。
発作性心房細動 50歳代男性 突然の重症脳卒中
時々起こる心房細動(発作性心房細動)がありながら病気に気が付かず、不幸にも非常に重症な脳卒中になってしまった50歳代の方を紹介します。
脳卒中発症後はきちんと管理・治療されて、奥様の献身的なサポートもあり右側の重い片麻痺も相当程度に回復しました。そんな人を詳しく紹介します。
50歳代の発作性心房細動で、重症脳卒中を起こした一例 或る大手会社に勤める50歳代の会社員です。比較的軽い高血圧で病院に長く通院し治療を続けていました。真夏の夜7時半頃、入浴から出てきたところで突然発症しました。目は開いていますが言葉は出なく、右側の半身が完全に動かない状態です。救急車を呼び近くの脳神経外科に運ばれて入院しました。
心房細動 「治療と管理」のヒント
高齢化とともに増加する心房細動患者 心房細動という心臓の不整脈は、高齢化社会の進行とともに急速にその数が増加しています。70歳以上になると、加齢とともに心房細動になる確率は飛躍的に高まります。当院の様な小さなクリニックでさえもその患者数は100人程度になっています。
心臓専門医だけでなく一般内科医もこの病気の治療を避けて通る事が出来ない時代になっています。また患者さんも医師任せではなく自分の命にかかわる問題として、この病気についてよく整理して理解していなければならないと思います。
「ドキドキがしばらく続く」 どんな心臓病?
症状の軽重と病気の軽重が関連しないので、最初に正しい診断が非常に大切 この心臓病で最も重要な事は、症状の軽い 重いと、病気の軽い重いが関連しない場合があることです。一見軽い症状に見えても極めて危険なもの、症状が 非常に辛くて重症のように見えても、それほどでもない不整脈といった具合です。
非常に稀ですが、症状が軽いからと甘く見ているととんでもなく、突然死となる場合があるのがこの病気の恐ろしさです。
この病気ではどのタイプの不整脈なのか、早めに病名を確定することが最も重要なのです。
不整脈で病院受診 「始めての診察と治療」
不整脈は症状が多彩で、症状と病気の軽重が一致しない時がある! 不整脈は種類が非常に多い病気です。そしてどの病気なのかで重症度も治療も全く違います。ピンからキリまで揃っています。
症状も多彩で、病名の確定(診断)が大変難しい場合もあります。不整脈の非常 に重要な特徴は、症状の軽重と病気の軽重が一致しないことがあることです。症状が軽いので様子を見ていると致命的な結果になってしまうこともある怖い病気 です。
その病気になった時、初めて訪れた病院での診察風景を出来るだけ簡単に説明します。
「速い脈」 どんな病気? 詳しく解説
<脈が速い(頻脈)心臓病>
想定される病気:発作性上室性頻拍症,心房細動、発作性心房細動,心房粗動、発作性心房粗動,心室頻拍,WPW症候群,ほか
患者さんへの助言:今元気でなんともないけれど、時々数十秒から数分程度の短時間の軽い症状があるという方は、心臓病であっても今緊急に対応しなければならない可能性は少ないと思います。
将来重症な脳卒中になったり、命に関わる重大な心臓病が背後に隠れている可能性もあります。症状の重症度と病気の重症度が一致しない怖さがあるのがこの病気です。必ず医師の診察を受け,胸部レントゲン写真,心電図,・・・
「ワーファリンを二度飲んだ!」 応急処置は?
心房細動の患者さんは血液を固まらせない抗凝固薬(ワーファリンかNOAC)を毎日飲んでいるでしょう。
稀にこの薬を飲んだのに勘違いでもう一度飲んでしまう場合があります。ワーファリンなら納豆を2~3パックと緑色野菜をタップリ食べると薬の作用をある程度中和できます。ワーファリンの過剰効果である危険な大出血をかなり回避出来るでしょう。
それから病院に行ってください。しかし最近よく使われる新経口抗凝固薬(NOAC)では応急処置はありません。即刻病院へです。心房細動は物忘れや認知症年齢と重な・・・・・・
ワーファリン「管理のINR」 自己調節のための、簡単な方法
当院では主に心房細動の患者さんにワーファリンを使います。ワーファリンは血液が固まり難くなる抗凝固薬と言われます。
患者さん毎にワーファリンの適量が違いますから、月一回の血液検査でINRを測定し、ワーファリンの効き具合を確認する必要があります。
食物中のビタミンKがワーファリンの効きを抑えます。ビタミンKが多い代表的な食品は、納豆、クロレラ、昆布、野菜と果物です。緑色野菜は1/3程度まで、その他の野菜も1/2程度まで減量すると良いでしょう。目標近くのINRになったら・・・
心房細動の抗凝固薬、ワーファリンか?プラザキサ(NOAC)か?
心房細動になったので、心臓の内に血栓ができるのを防ぐため、血液をサラサラにする薬を飲まなければならなくなりました。
薬は昔から使われているワーファリンと最近開発されたプラザキサ(新しい経口の抗凝固薬)がありますが、「どちらがいいですか?」と患者さんから尋ねられます。
当院の考え方をご紹介しますので、参考にして下さい。・・・
ワーファリンと納豆
納豆と心臓病の薬との組み合わせが危険かとよく質問されます。確かにその様な薬(ワーファリン)がありますが、当院ではその薬を飲む方には、処方開始前に必ずそのことを説明します。その注意がなかった方には納豆は全く安全です。安心して、いくらでも召し上がってください。
「脈が100前後、気になる」 どんな病気?
今日のお話は、これまでたいした病気もなく健康で過ごしてきた人で、最近「脈が速くなることがあって気になっている」。こんなケースを想定してお話しします。
元々心臓病があり、病気の診断も確定し、現在治療中の人なら参考にならないでしょう。以下の3つのタイプを想定してお話します。
不整脈の薬 意外な副作用は、「薬の効き過ぎ」
薬とは本来、有害な側面を持つもの
心臓病の薬の副作用を心配している方は随分大勢いらっしゃるようです。
一 般的に言えば、どんな薬であれ多くの薬は本質的に有害な側面を持ったものなのです。薬とは極端に言えば、「極く微量の毒をもって病を制す」ものです。
毒としての性質を上手に利用し、極く少量で病気治療に有用な薬として使うのです。もし大量に使えばどんな薬も有害になります。従って副作用のない薬はありません。
しかし皆さんが心配するような重大な副作用は滅多に起こりません。日本の医薬品は国や製薬会社で厳重に調査され管理されており、世界的に見てもかなり安全と言って良いでしょう。