けやき坂スタイル
健康への道 終生の道
残り人生をより健康にするために・・
健康の重さ <序にかえて>
健康には頓着せず自由に生きてきた40歳代の方です。私のアドバイスに、
「そんなに長生きは・・・。70、80まで生きようとは思ってません」
70歳近くになって、「先生、あと10年元気でいられませんか?」
その6~7年後には、「事情があってまだ10年死ぬわけにいかないんです」
・・・
生涯を通じて若々しく健康な人生とするために
少し長くなりますが私たちの経験と知恵をお話します。
2015.08.01 けやき坂クリニック院長 竹田幸一
1)生涯健康 運まかせでは実現しない !?
私自身は心臓病と心不全が専門ですが、内科医として地域の皆さんを長年たくさん診察させていただききました。
当院の患者さんは幾つになっても年齢より若々しく溌剌と生活しています。狭心症・心筋梗塞、脳卒中になる人は非常に少なく、介護保険のお世話になる人も数が少ないだけでなく介護レベルも軽い人がほとんどです。
患者さんの診療を通して、生涯を健康で元気に過ごすためにはどうあればよいのかについて多くの事を学びました。
25歳を過ぎる頃から老いが始まる肉体、そして生命の炎がいずれ燃え尽きる必然の過程の中で、いつまでも「健康を求め続ける」とは、一体どんな事なのだろうかと自問しました。
2)健康を求める美学は、終りの美学
不老不死は永遠に叶わぬ望みです。しかしそれでも人生の終わりに至る最後の時まで、自然の老化に逆らって健康を求め続ける努力をすることは可能です。
幸運にも私たちは、真面目にその努力を生涯続けた患者さんを多数見てきました。その患者さんの人生は、それをしなかった人とは明らかに違った人生の最終像でした。
人生最後まで実に健康的で明るく溌剌とした日常を過ごされて、最後の幕引きはロウソクの炎が燃え尽きる瞬間のように、短期間で静かにそっと消えていくのです。
3)生涯健康 強い意志で
そこから学んだ多くの事柄を皆さんに少しでもお伝えできればと思います。
人生を健康で90歳を超えて長く生き続け、最後の最後まで健康的に強靭に生きた多くの患者さんにはある種の共通した点がありました。
健康でありたいとする意志かも知れません。患者さんの生き様を見て感じました。一見そんな強い意志があるように見えなくても、その生活ぶりはかなり真面目で真摯です。
私たちの医療アドバイスに真面目に耳を傾け、真剣に努力し実現しようとされました。その真摯さは健康に対してだけでなく人生そのものに対しても恐らく同じだったでしょう。
4)目標は、血管の抗老化 (anti-aging)
25歳ころから始まると言われる老化には4つの側面がありますが、とりわけ重要なのは「血管の老化」です。薬剤治療や生活改善で効果が上がりやすいのもこの「血管の老化」です。
まず「血管の老化」に最優先で取り組みましょう。これは生命維持に直結する最も重要な老化の側面です。生命直結臓器である脳、心臓、腎臓が障害されます。
1. 血管の老化
2. 脳・神経の老化
3. ホルモンの老化
4. 筋肉・骨の老化
5)肥満→スリム 実現すべき第一歩
私たちが患者さんに目指した医療は、「抗老化」に向けて一緒に全力で取り組んでいく姿勢です。目標実現のために最も力を注いだのは体重の減量でした。目標体重をBMI23程度以下に設定しました。
これは何と言っても本人の自覚と努力が支えです。その具体的方法を提案し、共に考えながら目標の実現に努力し続けました。
大多数の方が目標のBMI23以下になったとは言えませんが、かなりの人が23近くに到達され、日本人として標準のスリムな体型を実現した人が多かったと思います。
*参考情報:BMI = 体重(Kg)/[身長(m)x身長(m)]
6)健康な20歳データを全達成
「年だから、これくらいでいい」は間違いです。以下のように全く健康な20歳ころの医学データ値をその究極の目標に設定し、患者さんとの共同作業で実現するよう努力し続けました。
1)身長と体重のバランスが良い(BMIが23以下)
2)血管を老化させる因子すべてが正常(血圧、脈拍、血糖、コレステロールなど)
3)体内主要臓器はすべて正常な状態(心臓、脳など)
4)敏捷な動作ができ、筋肉と骨格系がよく機能している
5)健全な精神活動が可能
6)十分な睡眠と休養をとり、規則正しい日常生活を維持する
*参考情報:BMI = 体重(Kg)/[身長(m)x身長(m)]
7)血液検査・尿検査 全正常値に価値
健康長寿を実現された方で、アルコールのために肝機能、脂質代謝、糖代謝に問題を起こしている方はほとんどいません。肝機能、腎機能、脂質系、糖代謝、尿所見などは綺麗な正常値か正常に近い値を維持する方がほとんどです。
嗜好品としてはタバコはほとんどの人がある時期に止めています。アルコールは最後まで嗜まれた人もいますが、適量の範囲以内に止めているようです。
一般的な血液・尿検査データの全項目を綺麗な正常値にし、それを生涯続ける考えを示して達成に努力しました。検査データが僅かでも悪化するとすぐ正常データに戻すよう励ましました。
8)運動 習慣となるまで継続
運動は、ほとんどの人が何かの形で実行されました。運動の質と量はそれぞれ個人の生活の事情から様々です。
高齢の最後まで運動機能をよく保持し、日常生活を制限少なく活動できた方は、早い時期から長い年月よく運動を続けていた人です。
運動が嫌いな人や運動をあまり実行されなかった人は、高齢では運動機能の衰えが明らかで日常生活にも活動に制限が増えていました。
9)医師との長い共同作業
生涯健康は簡単には実現できません。ある時期から始めて長年の地道な努力の積み重ねで達成できるでしょう。
自分一人の力と努力ではなかなか難しい道でしょう。ぜひ良き支援者でガイド役の医師を見つけて下さい。その医師と力を合わせ、生涯の健康を実現してください。
そんな医師は、あなたの近くにひっそりと佇んでいるでしょう。あなたの味方であり良き理解者です。日本中どこにも優れた医師がたくさんいます。相性の合う医師を見つけて下さい。
10)パワフルで安全な医薬品をフル活用
民間療法、サプリメント、生活習慣の改善は大切ですが、それだけで血管の老化を止めたり回復したりはなかなか困難でしょう。
現代は副作用が少なく優れた効果の医薬品が豊富にあります。サプリメントや民間療法とは違う医薬品のパワーをフルに利用して不可能なはずの究極の若返りをめざしてください。
医薬品を使用することに過度な抵抗とこだわりを持つ人が時々います。その人の人生観でしょうから、私は無理に説得はしません。
良い医薬品の選択については主治医と十分に相談してください。
11)一病息災 この道を歩む
健康づくりで最も大切なのは、病気にならないようにすることですが(予防)、完全に病気を防ぐことはできません。もし病気になったら、その時は早期発見し早期に治療を開始することです。
どんな病気も早期に発見し治療を始めれば治療効果が高く、病気が完全に治ることも可能です。それには「一病息災」のたとえ通り、何か一つの病気で通院しながら、定期的に自分の健康管理をして早期発見に結び付けることです。
一病があっても、かえって息災になれる。「一病息災」とはその喩え話しの意味です。
12)けやき坂スタイル 優れたコストパフォーマンス
ここで紹介した生涯の健康づくり方法なら、当院での経験から健康寿命を延伸しライフスタイルを最後まで良好に維持できる可能性があります。
寝たきり医療や重症で高度医療となる人は稀で、介護サービスも軽いレベルで済みました。生涯医療コストと介護コストが平均的高齢者より低額なのは確実です。反対に、患者さんの生活満足度は高いレベルにあったと思われます。
「けやき坂スタイル」は、生涯医療・介護コストと患者さんの満足度の費用対効果(コストパフォーマンス)が平均的医療より優れているのは確実だと思われました。
けやき坂スタイル 追記
追加の提案
A1)ダイエット + 運動 抗老化の両輪
生涯の健康を実現するためには、食事ダイエットでスリム体型を維持することと、運動を習慣にすることが大切な二つのポイントです。
抗老化のためにはどちらも大切ですが、人それぞれの生活の実情に合わせて、その両方を出来るだけバランスよく実行してください。
たとえば、現役時代は食事ダイエット優先で定年後は運動優先に等です。そして精神も身体も何時までも若々しくありましょう。
A2)食事で減量→筋肉減少!に注意
主に食事ダイエットで痩せる場合には、体の脂肪が中心に減量しますが減量の20~30%は筋肉も減少するといわれています。
ですから食事ダイエットで減量中は、身体からの筋肉(タンパク質)の消失を抑えるよう配慮しなければなりません。
そのために食事ダイエット中は、タンパク質は体重1キロ当たり1グラム(食事摂取タンパク質 > 1g/体重Kg)以上を摂るよう心がけて下さい。また筋肉トレーニング等の筋肉増強を取り入れて全身の筋肉量が減らないよう十分に配慮して下さい。
A3)高血圧 これが血管老化の「悪玉横綱」
生涯健康を実現するための努力は沢山あります。中でも高血圧の克服は最も重要な目標です。肥満と同様、必ず克服しましょう。
幸い現代は優秀な降圧薬がたくさんありますから、ほとんどの人は薬を飲むだけで大した努力もいらず目標の最適な血圧(正常血圧)まで下げられます。毎日そこまで下げておいて血管老化の加速を完全にブロックしておきましょう。
当院では開院時から年齢無関係に治療目標は、診察室血圧は 130/80mmHg以下、家庭血圧は 125/75mmHg以下を目標にし、ほとんどの患者さんが達成しています。
A4)肥満・運動不足・脂質・糖尿病は「悪玉の三役」
血圧以外に血管の老化=動脈硬化に関係するのは、肥満、運動不足、コレステロールと糖尿病です。
この四つは相互に関連しています。すべてを同時に克服するよう継続的に努力しましょう。
高コレステロール治療薬のスタチンは非常に優れた血管の「抗老化」作用があります。この薬は内服することを強くお勧めします。
A5)冠動脈の抗老化で、心臓病も予防
心臓自体は本来大変丈夫な臓器で、あまり致命的な病気にはならないものです。なっても軽いことが多いのです。
しかし生活習慣の変化から、心臓そのものではなく心臓を取り巻く「血管(冠動脈)の老化」が原因の心臓病が急増してきました。それを冠動脈疾患(狭心症と心筋梗塞)といいます。
心臓を養う冠動脈が老化し、内腔が狭くなったり詰まったりした時に起こる病気です。
それが起こると狭心症発作や、さらに進行した心筋梗塞へと発展し、生命にかかわるようになります。そうならないために、この冠動脈の老化を止めるか老化から回復するような治療をすべきなのです。
早く治療を開始すれば、病気を抑え込むことは十分可能です。
A6)脳細胞の抗老化、どうするか?
精神活動の老化を抑え込むことも生活の質のためには大変に重要です。一般的には、血管の老化を防ぐ対策は、ほぼ脳細胞の老化抑制にも効果があると予想されます。
この問題は高齢化の時代ますます深刻なテーマとなるでしょう。しかし医学の研究は確実に進んでいます。もうしばらくすると全く新しい予防法や治療法が我々の前に姿を現すかもしれません。
それまではいろいろと手を尽くし、何とか自分の脳細胞の老化を抑え込んでおきましょう。
A7)生涯の健康づくり 効率的な進め方
それではこの「けやき坂スタイル」を実行しようと思うが、どのような手順で進めたらよいのか、具体的なノウハウを知りたいとお考えの人もいるでしょう。
私達のクリニックでは、Plan-Do-See手法を取り入れて進みました。生涯の健康作りは長期戦ですから、歩みながら大きく道を間違えず、確実に正しい方向で最終ゴール目指します。
理想には至りませんでしたが、当院の多くの患者さんはほぼ満足できるレベルに到達できたと思います。そのPlan-Do-See手法をお勧めします。
続く・・・
病気を上手に克服し、残り人生をより健康にするために・・・
けやき坂スタイル 完
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