■2017.07.13 自分が病気になって学んだこと (2)
毎週繰り返している同じ運動中に首を悪くして、起きられなくなってしまったことをお話ししました。
病気になり患者の立場になった時、これまで想像できなかったいくつかの大切な事が見えました。今回は前回の続きとして、自分が患者となり病院で診察を受け検査された時、患者の立場で初めて気がついたことをお話しします。
病気の見通しを、切実に知りたい
病気になった患者として最も関心があったのは、この病気の見通しでした。病気の大雑把な見通しを早く知りたいと切実に思いました。
病名が確定(診断)しても、現実に何時までこの痛い病気が続くのか、どうなっていくのか、どんな治療でどんなコースで回復していくのか、激しい痛みが続く期間は何時までかなど、大きな不安だらけでした。
何時までこの激しい痛みを我慢すればいいのかを切実に知りたいのです。仕事の復帰を何時に想定すればいいのかも知りたいのです。
仕事を持つ患者さんであれば、私が抱えた不安と同じでしょうから、最初に必ず病気の大雑把な見通しをお話しなければいけないと自覚しました。
待合室で待つ辛さ
発症したばかりで、痛みが非常にひどい時は、待合室でイスに座って待つ時間さえ、自分の頭の重さが首の頸椎の神経を圧迫するのでしょう、ひどく痛みました。座っていることさえ辛くとても我慢できませんでした。かなり多くの鎮痛薬を飲んでいてもです。
私が受診した整形外科の病院では、外来診察室脇の点滴用ベッドで横になって休ませてもらえました。お陰で首の痛みを随分と和らげることが出来ました。患者さんが多く外来待合室での待ち時間が長かっただけにこれは大変ありがたいことでした。先生や看護師さんの配慮に感謝しました。
当院でもそうする様に心がけていますが、診察が終わってから病状によってベッドで休ませるのではなく、診察前であっても辛い患者さんが少しでも楽に待てる様に配慮する事は非常に大切だと我が身を以て痛感しました。
的確で手際よい診察と、病気の見通し
ベッドで寝て待っていると私の診察の順番になりました。看護師さんに呼ばれ起き上がり隣の診察室へ歩いて行きました。診察イスに座ると、それだけでも首の痛みは強まりました。
イスに座っていながら痛みのため顔を上に向けることが出来ず、診察中も上半身全体を前屈みにして顔を下に向けざるを得ません。座っているだけで辛そうな私の診察を、先生は手際よく短時間で所見をとってくれました。
短時間の要領良い診察は誠に有り難く思いました。体の所見を取って、CT等の検査結果が揃い、そのデータを元に先生から今日の診断と今後の治療方針や経過の予測を話してもらいました。
病気の今後を不安に思っている私が納得できる様に、先生は簡潔で要領よく診断、治療、予後についてご自分の考え方を話してくれました。
検査の辛さと、スタッフの親切な対応
病気診断のため頸椎のCTやMRを撮る必要がありました。ここでも首の痛みのために普通に仰向けに寝ることが出来ません。枕をかなり高くしなければなりません。
首の痛みでCTやMRを普通にはできないのです。技師さんや看護師さんが時間をかけ私が痛くない様に様々な工夫をしてくれました。私の首の撮影のため多くの時間をかけ大変申し訳なく思いました。
整形外科の主治医の先生は勿論、技師さんや看護師さんなど病院スタッフの皆さんの思いやり溢れた親切な対応は、痛みが非常に辛い患者にとって大変有り難いことでした。
よくご存知のことでしょうが・・
弱者の患者の立場になって、病院スタッフの暖かい配慮には心から有り難いと思いました。恥ずかしながら初めて気付いたことです。
多くの患者さんは、とうに知っていたことばかりで目新しくもないでしょう。しかし痛い病気になった経験のない私には新鮮な体験でした。
個人的には何度も体験したくない病気ですが、医師として貴重な経験であったと振り返って思います。
・・・ この記事は、<院長の閑中余話> で投稿しました。