内科校医から見た今の高校生の体格
私は地元のある高校で内科校医をしています。毎年この学校の全校生徒700人~800人を内科診察します。この学校の内科校医になって15年ほどたちますので、かなりの間、内科診察を通じて地元の高校生を観察してきました。
この15年間で生徒の健康問題に特別大きな変化は感じませんが、最近は生徒の体格が良くなってきている印象を受けています。その理由はスポーツにありそうです。
昨年のこの高校の3年生の体格は、男子が身長170.8cm、体重63.5kg、BMI 21.8、女子は身長156.9cm、体重53.6kg、BMI 21.8、でした。ここ15年間でこの値にはさほど目立った変化はないと思います。もしかして体重とBMIが少し多くなっているかもしれません。しかし、この数字だけでは分からないですが、私が直接観察する最近の高校生は、体の筋肉量が増えているのではないかと感じます。診察するとガッチリした筋肉質の良い体格の生徒がかなり増えているように感じます。
筋肉質の体格は、生活に溶け込んだスポーツにある?
小学生、中学生時代からスポーツが盛んになっているせいか、多くの生徒が小さい頃から自然に多彩なスポーツを生活の中に取り入れて、楽しんできているようです。そのため身長と体重には目立った変化はないようですが、筋肉質で良い体格の高校生が増えているのではないかと想像します。
今の高校生は、幼少から多彩なスポーツを楽しんできて、高校生になってもそのスポーツを続けスポーツが生活の中に自然に溶け込んでいるようです。高校時代は同時に大学受験の時代でもありますが、厳しい受験勉強と楽しいスポーツを完全に自分の中で両立させて、心身ともに立派な高校生に育っています。
今の児童生徒のスポーツ生活は、60年後の老人のライフスタイルを劇的に変える?
この若者たちの新しいライフスタイルは彼らの生活の中に自然に溶け込んでいますので、大学生となり、社会人となり、結婚し、いずれ人の親となっても変わらずに、恐らく生涯に渡って無意識のうちに自分の健康な体づくりと結びついていくことでしょう。
仕事で活躍しながらも、自然にスポーツも両立して楽しむこの新しい健康的な生活スタイルは、私たち医師から見ても大いに推奨できます。将来、頼もしい若者たちだと思います。この若者たちは、無意識のうちに日本文化の新しいスタイルをいま創造し始めているのかもしれません。
この若者たちが60年後の75歳になる頃には、一体どんな75歳になっているのでしょうか。多分、今の75歳とは全く違っているでしょう。多数の75歳が、非常に若々しい体を維持し、健康的な生活で、スポーツを十分に楽しみながら、充実した日常生活を実現している、という介護保険制度など不要の夢のような老人社会になっているのでしょうか?