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医師の出す薬は「処方薬」
病院にかかり医師の診察を受けその後に受け取った薬を処方薬と言います。この医師が処方した薬を皆さんは特別な事もなく普通に飲んでおられると思います。それが当たり前で何かを考えたり感じたりする人はいないと思います。この様な当たり前の医師の処方薬について今日はお話ししてみたいと思います。
前に高血圧の場合を例にして、薬剤処方に当たって医師の思考過程を詳しくお話ししました。参考になると思います。→◆高血圧治療 薬の選び方は医師の個性
処方薬は医師の治療思想のエッセンス
軽い病気の風邪に始まり、複雑な病態の心臓病など様々な病気の処方薬がありますが、どのケースを取り上げても、医師から処方された薬の内容は、医師の治療の考え方のすべてがそこに凝集されたものであることに変わりはありません。
処方薬は医師の医学的な知識、経験、医療に関する考え方や立ち位置等のすべてを含んでいるものです。その意味で医師の医療に対する個人的な特徴を非常に良く表していると考えられます。たった一つの薬ではあっても医師の治療思想のエッセンスなのです。
処方を見れば医師の治療思想が分かる
医師が他の医師の処方した薬の中身を見れば、その医師がその病気をどのように診断し、どのように考え、どのような手順で治療を進めて行こうと考えているか、大雑把ですが浮かび上がってくるものです。その病気に向かう医師の医療的な個性が読み取れます。
患者は処方された薬を見てもちろんそんなことは理解できませんから、何も考えずに出された薬をそのまま服用しますが、処方薬にはこのような背景が隠れているのです。
一枚の絵から画家の思想を推測するように
医師の処方薬を喩えれば、描かれた一枚の絵を見ると、その画家がどのような思想的立場で、どのような考えで、何を表現したくてその絵を描いたか、見る人に伝わるのと似ていると思います。見る人が見れば画家の思索や思想が漠然と浮かび上がって見えるようなものです。
後で診察する医師は、診断に有利な立場にある
処方薬の場合は描かれた絵と違って、複雑で膨大な医学知識がないと背景をイメージすることができませんから、そんなイメージを膨らませられるのはやはり専門家の医師だけと思います。
私たちは前の医師が処方した薬を患者から見せられることが良くあります。その処方を見て前に処方した医師の考えを想像し、自分の病気の見方を修正したり補正したり補強したりすることがあります。
前の医師が考えた病気に対する思考を参考にすることが出来るのです。最終的に患者の病気の今の状況と前に処方された薬の効果を勘案して自分の処方を決定するのです。
従って、患者を後から診察する医師の方が病気を診断し治療するのに有利な立場にあることは間違いありません。ただし時間とともに病気がさらに進行悪化している場合もありますから、診断には有利でも治療では逆に不利な場合ありますから単純ではありませんが。