心房細動でワーファリンを飲む
心房細動の患者であればワーファリンを飲んでいる人は多いと思います。心臓の中で血液の塊が出来るのを予防するために毎日飲む必要があるからです。
この薬は量が少なければ薬の効きが悪く、量が多いと効きすぎて体の中で危険な出血をする危険性が高まります。この薬は飲み方に慎重さが求められますので患者もかなり神経質になっていると思います。
ワーファリンを間違いで二度飲んだ!
患者もこの薬の飲む量はまず間違えないように慎重に管理しています。しかし本当に珍しいですが、この薬を間違えて二度飲んでしまう場合があります。それは朝飲んだのを飲み忘れたと勘違いしてもう一度飲んでしまう場合です。
いつもの2倍飲んでしまってからそれに気付きます。そんな時はかかりつけの病院に連絡をとり適切な処置をしてもらう必要がありますが、とりあえず病院に行く前にまず自宅で応急処置をしておくとよいでしょう。
過量服用の応急処置
ワーファリンの作用を弱めるので普段は量を注意して食べなければならない食品(納豆、野菜、果物、昆布等)を、この時ばかりはタップリと食べることです。納豆を2~3パックと緑色野菜をタップリと摂ります。さらに出来ればバナナなどの果物も食べると良いでしょう。
こうやってから病院に行けば、病院に到着して検査する頃には血液の固まり易さを調べるINR値は目標範囲を少し上回る程度に抑えられているかも知れません。
過量を中和する
ワーファリンを間違って多く内服した場合でも、このようにすれば出血が起こる等の危険な状況を何とか自力で回避することが出来ます。
一方、最近多く使用されるようになったワーファリンに代わる新経口抗凝固薬(NOAC)なら薬の中和はこう簡単にいきません。
過量に内服した新経口抗凝固薬(NOAC)を中和する方法が医療機関でさえ難しかったり、まだ方法がない薬もあります。少なくとも自宅で出来る簡単な応急処置などありません。
ワーファリンには長所もある
ワーファリンは納豆や野菜、果物を多く食べると薬が効かなくなることから、それが好きに食べられないと欠点が強調されます。
しかし見方を変えるとこのようにいざという緊急事態では飲み過ぎた薬を自宅で簡単に中和することが可能になります。この中和は完全ではないかも知れませんがかなり有効な方法です。
間違えて朝と昼で二回飲んだ人がこの方法で中和して来院し測定したら検査値のINRはいつもより少し高め程度に留まっていましたから完全に有効でした。
ワーファリンを内服中でもし間違えて二倍飲んでしまったら、まずかかりつけの病院に連絡して主治医とこのような方法を相談して下さい。
物忘れのある高齢者では?
心房細動は70歳代から急速に患者さんが増加します。物忘れや認知症が発症する年齢と重なりますので認知症の患者にワーファリンを使う時に私たちも管理が出来るかどうか不安になります。しかし自分で管理できる高齢者や家族が薬を管理できるならワーファリンを勧めます。
そうは言っても高齢者ですから間違えて飲むことは想定しなければいけません。そんな時にワーファリンのこの中和方法は便利な方法です。自宅で何とか危険を回避できますので高齢者には向いていると言えるでしょう。
ワーファリンは新経口抗凝固薬(NOAC)と較べて欠点だらけの薬では決してありません。優れた点と劣った点を十分に理解して下さい。
ワーファリンとNOACの特徴をここで簡単に比較しました。→◆035 心房細動の抗凝固薬 ワーファリンかプラザキサ(新経口抗凝固薬)か?
続く・・・
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