心房細動とワーファリン
当院では心房細動(発作性心房細動も含みます)の患者にワーファリンが使われています。心房細動の患者では、心臓の中で血液の塊が出来やすく、それが血流に乗り流れて行くと脳の太い血管を詰まらせて重篤な脳塞栓症を起こします。これを予防するために当院では主にワーファリンが使われます。→心臓病■03 速い脈(頻脈)
ワーファリン以外に同じような効果を期待できる新しい薬(新経口抗凝固薬 NOAC, DOAC)が近年数種類発売されています。その特徴や長短は別にお話ししました。→◆心房細動の抗凝固薬 ワーファリンかプラザキサ(新経口抗凝固薬)か?
血液を固まらせない薬(抗凝固薬)
ワーファリンは抗凝固薬と言われます。当然ですが出血した時には止まり難くなります。脳出血、怪我をした時、胃潰瘍など体内で出血した時にも止まり難いですから、出血には注意しないといけません。
効き具合は常時監視する
ワーファリンを内服する患者は、ワーファリン・コントロールと言いますが、ワーファリンの効き方を常に監視しなければなりません。
ワーファリンが効かなければ血栓が出来やすくなりますし、効き過ぎると今度は体内での出血の危険性が高まります。丁度良い効き具合にしておかないといけないわけです。
それは月一回程度血液検査をしてINRという値を測定してワーファリンの効き具合を監視・管理することです。
監視管理はINRを測定
ワーファリンを内服している人は常時この検査をしますからよく御存知でしょう。ワーファリンの丁度良い量は人によってかなり違いますが適量は患者毎に大体決まっています。
しかし毎日の食べ物の影響で、特に野菜と果物の影響で、このワーファリンの効き具合がころころ変わってしまうことがワーファリンでの治療の難しいところです。
野菜や果物はワーファリン効果を下げる
納豆、クロレラ、野菜ジュース、はビタミンKが非常に豊富ですから食べてはいけません。→◆納豆と心臓病の薬(ワーファリン)の関係は?
食物中のビタミンKがワーファリンの効き具合を抑えます。ビタミンKはなるべく摂りすぎないように注意して下さい。ビタミンKは野菜と果物にたくさん含まれますので、この摂り方に注目して下さい。
それ以外でも注意しなければならない食品は多いですがその詳細は割愛します。ワーファリンの効きを悪くする典型的な例は野菜と果物と憶えて下さい。
野菜や果物は常時減らす
緑色野菜はそれまでの量の1/2程度までに、その他の野菜も2/3程度までに減量しておくのが良いでしょう。
適量のワーファリンで目標のINR近くになったら、それからは前月の野菜と果物の食べた量を見ながらそれでINRはどれだけ変化するかをいつも自分で確認するよう心がけて下さい。つまり野菜や果物の摂取量とINRの変化量を自分で確認する作業です。
野菜や果物でINRを微調節
医師は患者が毎月どれだけ野菜や果物を摂っているか分かりませんので、毎回のINR値を教えますが、前のINRの値に基づいて来月は野菜や果物をどれだけ増減するかは患者自身で考えなければなりません。
毎月のINR値を見ながら野菜と果物の摂取量を確認して、目標のINR値を維持するように野菜・果物の食べる量を自分で調節し続けます。
食べ方でINRの変化を体得
半年間ほどそれを繰り返し練習すれば、野菜や果物の食べ方とINRの値の関係が大雑把ですが分かってくるようになります。このようにしてINRを目標値近くで保つ食事を見つけていくのです。
このINRコントロールが軌道に乗れば、あまり難しく考えなくてもINRは良い値に維持されるでしょう。
ワーファリンの量を毎月微妙に変更するよりも、その量は変えず患者が自分の食べる野菜や果物の量を微調整してINRを目標に維持する方が、安全で安心なコントロール方法だと思います。
お分かりのようにこの方法は認知症の患者には難しくなります。
続く・・・
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